2011年1発目のライブは、タテタカコさん。
1月8日(金)~10日(祝)まで「松の内スペシャル3days」と銘打たれた3日間のうち、まずは2日目に行ってきました。
会場の新宿Naked Loftは、10月のタテタカコワンマンと同じところ。
(その時の感想はこちら→[ライブ]タテタカコ“Harkitek or ta ayoro”ツアー 2010.10.22@新宿Naked Loft)
この日は開場5分後の18:05ぐらいに着いたので、通り沿いの前の方の席を確保。
ステージ(タテタカコ)までかなり近い。
ステージには、KAWAIのMP9500というキーボード。
この会場(カフェ)は、ライブ時には新宿の大通りとビニールシート1枚で隔てられることになる。
ライブ中も行き交う人の足音や話し声・笑い声が聞こえるんだけれど、そこがいい。
日常とつながっているような、それでも確実に違う風景のような、曖昧な空間が生まれる。
(今日のMCでも、タテタカコは何度もその“外界”のことに触れてた)
19:00を過ぎて、「パン、パパパパパン」と口ずさみながら登場したタテタカコ。
(今日はNaked Loftの告知スライドがなかった。正直、その方が嬉しい。笑)
おそらく鍵盤を弾く手を冷やさないためなんだろう、厚手の手袋をしながら。
両手を頭の上に伸ばす仕草。
最初にやったのは「夕立」。
いやすごい。
第一声目から、いつもにも増して声がすごい。
どこまでも届いていきそうな、そして聴く人たちの心深くにまで届きそうな声。
いきなり圧倒されてしまった。
「夕立」はいつもよりアップテンポなバージョンでやっていて、特に間奏のピアノパートはちょっと新鮮なスピード感があった。
二曲目は「フルサト」。
ライブで聴くと、強弱をつけた間奏のピアノが印象的。
タテタカコが鍵盤に込めた気持ちの強さが、こっちにも伝わってくる。
2曲やってMCという流れは、いつもと同じ。
「今日は救急車が多いですね」という話から、故郷の飯田市では近くに病院があって学校帰りに知らないおじいさん・おばあさんがお菓子をくれた話をしてた。
タテタカコという人自身やそのライブの向こう側には、いつも飯田市の風景が透けて見えてくる。
よく雑誌とかである「誰々のルーツを探る」っていう特集、僕はあまり興味がなかったんだけど、タテタカコに関してはその故郷の飯田市に行ってみたくなるなあ。
三曲目。
僕の大好きな「心細い時にうたう歌」!
タテタカコを生で聴くのはまだ三回目なんだけど、初めて聴けたのが本当に嬉しかった!
夜に何度も何度も聴いた曲に、こうして生で出会えたときの感動って言ったらないよ。
しかも、いつにも増して素晴らしい声で!
もう感無量でした。
次に「祝日」と、王道ナンバーが続く。
(ここらへんの曲を僕はタテタカコ的“王道”と勝手に思っている)
この曲もひっそりとした希望に満ち溢れていて、とても好き。
聴いててすごく落ち着くんだよねえ。
二度目のMCでは、「昨日から東京生活を送っています」という話。
そうか、タテタカコがこれだけ(三日間ぐらい?)東京で暮らすことはあまりないんだな。
東京で過ごしてみて、ライブ以外にどんなことをやっていたのか、どんなことを思ったのか、すごく訊いてみたい。
あとはNaked Loftのトイレの蛇口が(今年の干支に引っかけて?)ウサギになってた、って話。
「男子トイレはどうなのか教えてください。教えてくれなかったら見に行きます(笑)」と言った後に、「あ、誰も入っていない時ですよ」と付け加えるのがタテタカコらしい。
次の曲は知らない曲だった。
家に帰って調べたら、「歩幅と影」という曲。
「酔いどれ詩人になる前に」というオムニバスアルバムに収録されているらしい。
むむ、ここらへんの曲からもライブでやるとは、ちゃんとチェックしないとなー。
そして谷山浩子さんの「恋するニワトリ」のカバー。
これも「みんなのうた」のオムニバスに収録されている曲。
とてもかわいらしい曲だった。
ここらへんで“王道”から少し外れてきた流れ。
この後は、タテタカコのもう一つの特徴、マイナーコードの曲へ。
その前にMC。
お正月に飯田市で過ごしたけど、雪があまり降らなかった話。
そこから、小さい頃にスキーやスケートをやったけど全然滑れない、スキーのリフトの降り方が分からなかった話など。
緊迫感を煽る赤いライトに照らされながら、「冒涜」。
鍵盤の上で自在に踊るような指の動きがすごい。
次は左足でステージを叩いてリズムを取りながら、「手の鳴る方へ」。
いやはや、ほんとに今日は特に声がすごい。
圧倒的。
(昨日もライブをやっていたことが関係してたりするのかな)
「キン、コン、カン、コン」とお知らせをピアノで弾いて、ライブのお知らせMC。
次に東京で観られるのは4月22日のツアーファイナルかー。
行くよ!!
その次にやった曲も知らないものだった。
「夏日は過ぎて 焼きつける眩しさに(?)」というやつ。
何に収録されてる曲なのかな?
※追記
apaloosaさんに教えていただきました。
「極東最前線2」に収録されている「季想」という曲のようです。
そして次に「あの人」がキター!!
「心細い時にうたう歌」と並んで、僕の大好きな曲。
「心細い~」だけでもう十分嬉しかったんだけど、これまでやってくれるとは!
この日に行ってよかった!
(もちろんどの曲も素晴らしかったんだけど)
イントロのピアノだけで、「うわー!うわー!」と思ってしまったよ。
続いて「帰路」。
再び“王道”の曲に戻ってきて、ライブも終盤へ。
これも「祝日」と同じような安らかさに溢れてる曲だなあ。
そう思うと、やっぱり「Harkitek or ta ayoro」というアルバムはこれまで以上に「タテタカコ」が表現されてるアルバムなのかもしれない。
表現として一つ違うステージに入った、というような。
最後のMC、タテタカコが話そうとしたら、通りを横切った外国人が「Great!」って言ってた。
それを聞いて「いいことあったんだな」と、タテさん(しみじみと)。
アンコー
ル前のラストは「眠りつくまで」。
「Harkitek or ta ayoro」の最後も飾っている、とても優しい曲。
この曲の途中で歌う「ほー、おおーう」というフレーズは他の曲と比べてちょっとだけ低音で、体の芯に届くような温かさに満ちている。
素晴らしいライブを、包み込むように〆る。
タテタカコが退場した後も手拍子は止まず、アンコール。
再び鍵盤の前に座ったタテさんは、マフラーを取った。
「あと2曲やります」と言って弾き始めたのは、「あした、僕は」。
これも「眠りつくまで」と同系統の曲と言えるかもしれない。
新宿の喧騒の隣で、鮮やかなコントラストのように静かで優しい空間。
そこから途切れずつなぐようにして「道程」へ。
これ、大好きな曲なんだよなー!
イントロのピアノから、もう力強さと美しさが溢れていて。
しかも今日のタテタカコのものすごい声量&伸びやかさで聴けるとは。
「あの人」、「帰路」、「眠りつくまで」、「あした、僕は」、「道程」と、この終盤の流れは素晴らしいの一言。
それぞれの歌一つとっても素晴らしい曲たちばかりなんだけれど、それと同時に着実にその曲順には意図やメッセージも込められていて、タテタカコの歩みを感じることができて嬉しかった。
独りで歩く道程が 寂しいものだと感じたとき
ぬくもりをもつ生きものたちは 互いに手をとりはじめる「道程」(歌詞:タテタカコ)
そして何度も言うようだけど、この日のタテタカコの声はほんっとうに素晴らしかった!!
「道程」はテンポの強弱もつけたりしながら、もう完璧。
アンコールの冒頭で「2曲」と言っていたのだけど、最後に「しあわせのうた」!
この素晴らしさをどう言葉で形容すればいいのか、もう分からない。
一番それを表しているのは、この歌の歌詞そのものかもしれない。
この歌をうたえるのは しあわせだと感じたとき
この歌をうたえるのは しあわせだと感じたとき「しあわせのうた」(歌詞:タテタカコ)
目の錯覚だとしたら失礼だけど、最後にこの曲を歌っているときのタテタカコは少し目が潤んでいたような。
ただ、本人がこの曲通りに幸せそうだったのはきっと間違いないし、なによりそれをこんなに近くで聴いていられた僕(たち)が幸せだったのはもっと間違いない。
アンコールの冒頭で「2曲」と言ってたのはただの間違いなのか、それとも「しあわせのうた」はその場の気持ちのままに(予定外に)歌ってくれたのか。
もしくはライブアルバムでも「あした、僕は」と「道程」は一つの流れとして一曲に収められているから、タテタカコの中ではこれで「2曲」っていう捉え方なのかな。
(ちなみにそのライブアルバムも、ラストはそこから「しあわせのうた」の流れ)
とにかく この日のタテタカコは本当に素晴らしかった(これ書くの何度目だ)。
帰って来てからなるべくライブの空気や雰囲気を思い出しながら音源を聴くのだけど、この日ばかりはその圧倒的なライブの歌の前に、音源が霞んで聞こえてしまうほど。
本当に奇跡のような歌声・ライブだった。
あ、最後に出口で挨拶するとき、僕と嫁の服装を褒めてもらっちゃった。
嬉しかった。
(翌日もまた来るけど)素晴らしい時間と歌を、ありがとう。
セットリスト タテタカコ「松の内スペシャル3days」 2011.1.9@新宿Naked Loft
1.夕立
2.フルサト
-MC-
3.心細い時にうたう歌
4.祝日
-MC-
5.歩幅と影
6.恋するニワトリ(カバー)
-MC-
7.冒涜
8.手の鳴る方へ
-MC-
9.季想う
10.あの人
11.帰路
12.眠りつくまで
-アンコール-
1.あした、僕は
2.道程
3.しあわせのうた