2011年にリリースされて僕が聴いた中での、ベストアルバム25を選んでみました。

2011年に僕が購入もしくはレンタルしてiTunesに入れたアルバムは、全部で170作品ありました。
(シングルは含まず)
その中から悩みに悩んで選んだ、25作品です。

中にはライブで観たアーティストも多いですが、
なるべくライブの印象は排除して、作品だけの好き嫌いで決めました。


いつも困る質問に、「どういう音楽が好きなんですか?」というものがあります。
「ええと、演歌とコテコテのヒップホップ以外ならほんとになんでも聴くんですが…」
とか歯切れの悪い答えをしてしまいます。

そういう時にこの「2011年自選ベストアルバム」さえあれば、
「ああ、去年なら○○の作品が好きでした」
ってスムーズに答えられるてすごく役に立つんじゃないかと。

実はこの年間ベストアルバム選出作業を2003~2005年ぐらいはやっていたのですが、
それから時間がないのを言い訳にしてやめてしまっていました。

でも、「2011年はつくろう!決めよう!」と決心してからここまで、
リストアップする段階からほとんど全作品を聴き直してあれこれ悩んだり、その過程がとても楽しかったです。
勢い余って、「2010年版もつくろうかな…」とまで思ってるぐらいです。

というわけで、以下、僕の2011年ベストアルバム25です。

ただ、惜しくも選外になったもののやっぱり好きな作品も名前だけ挙げておきます。
このエントリに記録として残さないにはもったいない作品ばかりだったので…。
(アルファベット・あいうえお順)

Amiina「Puzzle」
[Champagne]「I Wanna Go To Hawaii.」
The Get Up Kids「There Are Rules」
The Go! Team「Rolling Blackouts」
Laika Came Back「Landed」
Los Campesinos!「Hello Sadness」
LOW IQ 01「MASTER LOW GO」
M83「Hurry Up We’re Dreaming」
Metronomy「The English Riviera」
The Pains Of Being Pure At Heart「Belong」
SPECIAL OTHERS「SPECIAL OTHERS」
the telephones「Rock Kingdom」
TOTALFAT「DAMN HERO」
大橋トリオ「L」「R」
毛皮のマリーズ「THE END」
レキシ「レキツ」

以下、アルバム名とジャケット画像はamazonへのリンクになってます。

25.androp「relight」


既視感というか既聴感もとても感じるし、「ああ、今の時代の邦楽ロックでウケそうなスタンダードだな」とも強く思う。
とはいえこれだけど真ん中を歩もうとしている姿勢やそれができていることにはスケールの萌芽みたいなものを感じる。
2011年2月にリリースされた「door」より9月にリリースされたこっちの作品はさらに深化していて、
この短期間にそんなに!?っていう驚きと今後の期待感も含めて。

24.CSS「La Liberación」


ディスコの音なんだけれど、それが全く古臭くなく、
結果的にとにかく踊りたくなるような音になってるアルバム。
ブラジルのサンパウロ州出身なだけあって、そういう音作りって体に染み込んでるのかな。
前作「Donkey」よりも、こっちの方が好き。

23.EeL「For Common People」


おもちゃ箱をひっくり返したような、という表現がピッタリ。
90年代~00年代ってこういう音楽がたくさんあった印象があるし、
そういう意味では焼き直し的な印象もなくもないんだけれど、
でも2011年では最も「はちゃめちゃに楽しいこと詰め込んでみました感」を感じたなあ。

22.元気ロケッツ「GENKI ROCKETS II -No border between us-」


いつものことながら、聴きやすい良質なハウスを安定生産してくれる元気ロケッツ。
Wikipedia見てみたら「フューチャーポップ」ってジャンルになってたけど、その表現もよく分かる。
「未来感」を嫌味なく、さらっと体現してるアルバム。
ハウスやテクノという言葉に興味がない方でも、誰でも気軽に聴ける音だと思います。

21.井上ヤスオバーガー「当然のように朝が来た」


かっこよくはなくても、真理を叫ぶのってかっこいいじゃないか。
日常という時に退屈で恐ろしいものを、飾らずにそのまま声の限り歌い切ることのかっこよさ。
2011年に、大好きなシンガーソングライターの一人になりました。
少し掠れ気味でも力強い声も好き。

20.アナログフィッシュ「荒野 / On the Wild Side」


ぐしゃっとした混沌や内省だけでなく、そこからの一歩も踏み出している、
僕がとても好きなバンド・アナログフィッシュの最新作。
アナログフィッシュは確かに歌ってる内容がものすごく好きなんだけれど、
このアルバムは音楽面だけ聴いていても(=初聴の人でも)十分に楽しめる作品になってるのが素敵。

19.Noah & The Whale「Last Night On Earth」


上で挙げたブラジルのCSSがよりアグレッシブに「踊りたくなる」としたら、
このイギリスのインディー・フォーク・バンドはより緩やかに「揺れ動きたくなる」音。
生活のいろんなシーンにも優しく溶け込むことができるアルバム。

18.Death Cab for Cutie「Codes and Keys」


しっとりしたベン・ギバードのボーカルはそのままに、
よりポップに、より外向きになったような今作。
これまでの作品も好きだったけれど、それらとは明らかに違った聴きやすさが。
どんなシチュエーションでも、どんな季節でも、すんなりと愛聴できる作品。

17.★STAR GUiTAR「Carbon Copy」


このベストアルバム25の中で、元気ロケッツと並んでランクインしてるテクノ・ハウス。
どちらも聴きやすいアルバムなんだけれど、こっちの方が好きな(上位にした)のは、
収録されている楽曲のジャンルが幅広くて、僕はそっちの方が好きだから。
ビッグビート、ドラムンベース、さらには琉球まで入っていて、こういう雑多な感じ、大好きです。

16.Caravan「黄金の道 soundtracks」


Caravanに関しては、生きるのに大切だと思ってる部分への共感、というのが大きい。
それは「ありのままを受け入れる」だとか、「自然との距離のはかり方」だとかの価値観の部分。
このアルバム自体は過去の曲も含まれているし、「完全な2011年の新作」というよりは
「一つの集大成的なアルバム」という位置付けが強いけれど。
僕にとっては音楽の範疇を超えてもっと大切なところを分かち合えると思ってるアーティスト。
(そこまで感じられるのはACIDMANとCaravanぐらいかなあ)

15.amazarashi「千年幸福論」


「聴いていると歌詞を読まざるを得なくなってくる」というアーティストの筆頭。
僕は音楽を聴くときにまずメロディや音から入るのですが、
amazarashi(秋田ひろむ)のように強い言葉を持った日本人には久しぶりに会った印象。
過去の作品もとても好きで、その流れも含めてラストの曲「未来づくり」は涙なしでは聴けないよ。

14.LIL「Synchronize」


このランキングの中で最もラップ・ヒップホップの色が強い作品。
クラブサウンドをベースにいろんな音楽要素が入り混じっていて、
それがボーカル・ucioの歌うメロディのキャッチーさで上手くまとめられてる。
日本人ユニットがこういう新しいジャンルの音楽を進もうとしてるのはとても嬉しいこと。

13.mito「DAWNS」


クラムボンのベーシスト・mitoさんの、ボーダーレスという言葉がしっくりくるソロアルバム。
クラムボンも天才の集まりだと思ってるけれど、この作品も才能がキラキラ眩しすぎる。
若者やキッズというよりも成熟しかけている大人が、音楽の海の中で自由に泳いで楽しんでいる様が伝わる。
そう遠くない将来、高橋幸宏さん的なポジションに到達しそうな予感まで感じます。

12.Veni Vidi Vicious「Good Days」


2011年に「おお、これは新しい」と思った日本のバンドの中で、最終的に一番好きになったアルバム。
中毒性があるのは良いバンドの証なんだと思う。
特にアルバムタイトルにもなってる「Good Days」がたまらん。
いったん聴いたら抜け出せないこういうハマり方は、日本だとモーモールルギャバンや凛として時雨にも似てる。

11.Thomas Tantrum「Mad By Moonlight」


ザッツ・僕の好きなインディーポップ、なUKのバンド。
この3枚目のアルバムも期待に違わず好きです。
軽やかなメロディに乗っかる、同じく軽やかだけどちょっとクセのある女性ボーカル(Megan Thomas)。
足取りが弾む散歩だとか、春の息吹きを感じた日だとかに、ぜひ。
なんでこういうバンドが日本に現れないんだろうなあ、といつも思いながら愛聴しているよ、

10.The Submarines「Love Notes/Letter Bombs」


前作「Honeysuckle Weeks」がすっごく好きで、
それに比べるとドリーミーな感じが少し減ってよりバンドとしてのリアリティが出た作品。
ただ何度か聴いているうちにやっぱりこれはThe Submarinesにしか出せない音で、
スルメを炙ってるかのようにThe Submarinesらしさを感じるようになった。
The Submarinesを聴いていると、夢の中で生きるのも悪くない、と思う。

9.andymori「革命」


日本の中でも異質な才能を持ってるバンドだと思ってるんだけど、
そんなバンドが「音楽をやる喜び」をとことん解放して、それがこちらにも伝わってくるのが嬉しい。
自分のバンドへの愛情や誇りを歌った「ユートピア」に代表されるように、
今一度、バンドっていいなあ、音楽っていいよねえ、と思わせてくれるアルバム。

8.The Vaccines「What Did You Expect From The Vaccines?」


世界的に見てもスケールのデカい新人バンドって、こういうことを言うんだろうなあ。
音もボーカルも芯が太くて、音楽的な基礎骨格がすごくしっかりしてる印象。
The Strokesとの音楽的な親和性(メンバーと一緒に曲も作ってるし)も語られるけど、
Strokesよりビッグなバンドになっても全然おかしくない。
少なくともスタジアムや野外には今の状態でもStrokesより似合うと思う。

7.Cults「Cults」


シンプルで時にチープな音を利用しながら、
センスでもって“これまでなかった新しい音楽”に仕上げてるインディーポップ。
これってもはや曲作り・アレンジから収録に至るまでのセンスとしか言いようがない。
アルバム全体で30分ちょっとと、さらっと聴けるところも好き。

6.The Naked And Famous「Passive Me Aggressive You」


これは好きなエレクトロ・ポップ。
エレクトロと言っても単に聴きやすいとかノリがいいだけではなく、
アレンジの中に時には切なさや寂寞としたものを感じられるところが好き。
同様に、ボーカルのアジア系ニュージーランド人・アリサ(Alisa Xayalith)の声も、とても表情豊かで素敵。

5.Radical Face「The Family Tree: The Roots」


ピアノとアコースティックギターを中心にした温もりのある音ながら、
時にはコーラスでスケールの大きさまで感じさせてくれるアルバム。
(こう書いていてFleet Foxesと似ている部分があると思った)
特に秋~冬、樹々が赤や黄色に色づく頃やモノクロになった街に似合う、極上の温かさ。

4.yuri miyauchi「ワーキングホリデー」


これを実際に休日の昼間にかけてみてください、ほんとに気持ちいいから。
「ワーキングホリデー」という言葉も秀逸で、宮内優里という人が楽しく仕事をしているのが伝わるタイトル。
休日(ホリデー)でも仕事をこれだけ心地良く楽しくできる人って、絶対に幸せな人だと思うのよ。
そんなアーティストの姿勢まで伝わってくるところが、こちらまで嬉しく感じる。

3.the HIATUS「A World Of Pandemonium」


僕が今の日本で「一番音楽の本質的なところに近い」と思っているバンド。
「音楽の本質的なところ」っていうのは、
例えばジャンルにこだわらないことであったり、音を鳴らす素朴な喜びを体現していることであったり。
言うは易し行うは難し、それをアルバムという形にするのはもっと難しだろうけれど、
それができてるthe HIATUSはすげえと思うし、大好きなんです。

2.Beirut「The Rip Tide」


1曲目の「A Candle’s Fire」からあっという間に引き込まれて、
最後まで蝋燭の暖かい揺らぎの中に身も心も包まれるようなアルバム。
どこまで優しく温かいのか、と。
世界的にも稀有な音楽だし、ザック・コンドンには「こういう音を作ってくれていてありがとう」と感謝。

1.I’m From Barcelona「Forever Today」


楽しい、聴いているとハッピーな雰囲気に包まれる、というのは正義。
彼らの過去の作品と比べても、なんだか一気に突き抜けてポップで明るい。
結局、僕はこういうインディーポップが大好きなんだと思う。

以上!

こうして見ると、僕が好きになる作品って、すごく分かりやすい3つの条件がありますね。

・新しく感じる音であること
・インディーポップ
・温かさ

どの作品も、この3つのうちのどれか(もしくは複数)に当てはまって、
「自分、分かりやすいなあ…」と思いました。
順番が逆だけど、2010年版もやってみよっかな…!