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1日目と2日目の感想はこちら。

[感想]フジロック1日目 2015.7.24 | いぬと海
[感想]フジロック2日目 2015.7.25 | いぬと海

3日目、この日も快晴。
っていうかこの日こそほぼ一日快晴で、日差しが強かった。

一発目は、昨日もカフェ・ド・パリでちょっと聞いてたスペインのバンド・Txarangoから。

2日目の感想でもチリの二人バンド・Perroskyに触れつつ書いたけれど、Txarangoもホーン隊から鍵盤、ドラム&パーカッションまでフル活用して、楽曲がバラエティ豊かなのが好きだわ。

そしてもちろん、特に曲を知らなくても楽しめちゃう圧倒的な明るさ。

ほんと、僕にとって今回のフジロックは“オレンジコートの欠片”を各所で探し求める旅、っていう側面もありましたよ。

真昼の太陽の下で60分ほどノンストップで踊ってたので、Jim O’RourkeとGaman Gilbertoはヘブンに下る坂道の木陰から聞いてた。

ただ、これがやっぱり音がすごくいいんですよ。

それで「これはやっぱりステージ正面で聴きたいわ」という思いと「いや、でもただでさえTxarangoで火照ってる中でまたこの酷暑の下に出向くのは…」という思いのせめぎあいを繰り返した末に、以下のような「だからフジロックは雨の方がちゃんとライブを観られるんだよ、こんちくしょー」っていうツイートに。

まあでもジム・オルークはほんと出してる音がよかったので、結局は日除けも何もないヘブンで聴いちゃいました。

それでいよいよ暑くなって、ceroも最初のうちは、ホワイトに向かう途中のちょっと丘になってるところの木陰から。

ちょうど「マイ・ロスト・シティー」がやってるところだった。

その後、途中からステージ正面あたりへ。

ceroが終わってから、いったんグリーンに。

劇的な展開で活動休止の年にグリーンに登場することになったthe telephonesを観る。

telephonesのメンバーはフェス好きだし、僕も実際に苗場でお会いしたことがある方を、こんな展開でグリーンステージで観られるっていうのはちょっと特別な感じ。

いつものtelephonesに苗場への思い入れが加わって、いい感じのステージでした。

その後はレッドマーキーでThe Bohicasを少し。

UKロックの一種によくありそうな、荒々しいロック。

ちょうどこの頃、ホワイトステージのトッド・ラングレンが話題になってた。

グリーンからホワイトに向かうところで、吉田(晴)さんに会った。

なんか知らんけど、吉田さんとは申し合わせてるわけじゃないのにこれで3年連続たまたま会ってる気がする。

ところ天国で食べ物を調達してから、大橋トリオ

この夕方の時間にはもう天国バーガーが売り切れてて、結局今年は一度も食べなかったな。

どうでもいいけど、天国バーガーと言えば雨で濡れた状態で食べてることの方がよっぽど多い印象がある。

あと食べ物と言えば、なにげにヘブンで売ってる枝豆コロッケが普通のコロッケに変わってたのはちょっと残念だった。

大橋トリオは、安定の心地よさ。

そして楽しみにしてたグリーンの椎名林檎

セットリストはもうちょっとポップ寄りなのかなと思っていたけれど、それにしてもこの「椎名林檎」というアーティストを演じ切る覚悟と姿勢は素晴らしいわ。

それでいて、(たぶん計算も含んでるんだろうけど)屈託のない笑顔を時おり見せるところとか、ちょっと反則気味。

椎名林檎を(当初の予定に反して)最後まで観てしまったので、toeは来る途中に事故に遭ったっていうMCから最後の2曲ぐらいだけ。

それでも十分によかった。

toeのところで平井くんに会い、この日はこれ以降観るものがすべて被ってるってことで、ひとまずヘブンに移動。

二人で牛スジ丼とカレーを食べながら、Benjamin Booker
(以下のツイートをしたら「牛モツじゃなくて牛スジです!」って指摘された)

途中から亜依くんと松原くんもその場に合流。

僕は普段のフェスやライブでは一人か奥さんと二人かのどっちかなので、自分含めて4人も並んで一緒にライブを観るとか、たぶん10年ぶりぐらいだったわ。

いかにこれまでの自分がぼっちなのか、と。

途中から観たHudson Mohawkeは、めっちゃよかった。

2015年の今としては、こっちを最後まで観るべきだったかも、という気がしなくもない。

Txarangoから始まって、ジム・オルーク、cero、椎名林檎、toe、Benjamin Booker、Hudson Mohawkeと、どれもライブとしての平均点をだいぶ上回ってると思う。

さらにレッドマーキーで楽しみにしてたOf Monsters And Men

ていうかレッドマーキーってちょっと狭くないか(前回はホワイトだったのに)。

Of Monsters And Menもよかった。

よかったんだけど、特に序盤〜中盤で、もうちょっと曲の順番とつなぎ方の工夫があれば、あのレッドマーキーの熱気と期待感ならもっと天井をぶち破るぐらいの盛り上がりにもなれたんじゃないかな、とは思った。

そこらへんは、フェス戦線で勝負する日本の若いバンドの方がよほど工夫してるケースはあるな、と思いつつ、まあでもそういう良い意味で純朴なところがこのアイスランド出身のバンドのいいところでもあるのかも、とも思う。

FKA Twigsは観ておかなきゃいけないかな、という気がしていて、ホワイトへ。

去年レッドマーキーでLordeを観た時もなかなか「こりゃすげえもの観た」と思ったけれど、FKA Twigsはそこにさらにコンテンポラリーダンスという表現を加えてて、よりアート領域に近くなってる感じ。

5曲ぐらい観てなるほどと思ったので(フェスで60分間観るものでもないなとも思った笑)、混雑する前にグリーンのノエルに移動。

いやー、ノエルはよかった。

何がよかったかって、まず「Whatever」そして「Masterplan」(!)やってくれたのが嬉しかったわー。

そして本編ラストに、待ってましたの「Don’t Look Back In Anger」。

ほんと、グリーンに集まってる2万人ぐらい?が全員「待ってました」って感じで立ち上がって、Aメロから合唱が始まるって、こういう曲もなかなかないわ。

FKA Twigs終わりのホワイト〜グリーンの道で渋滞に巻き込まれていた人たちのところでも、音が聞こえてきたら合唱が始まったみたいで。

もう、3日間のフェスの終わり方としてはこんなに綺麗な終わり方はないわ、と思った。

おそらく自分史上でもフジロック3日間の終わりとしてはベストだったかもしれない。

もともとこの日は夜のレッドマーキーをどうしようかなと思っていたけれど、これ以上のタイミングでの「フェス後感」はないなと思って、ここでスパッと帰ることに。

今年も3日間楽しかったです。
ほんとありがとうございました。

フジロック3日間全体のまとめ感想

ひとまず以下がフジロック後に発したツイート。

多様な音楽に出会う場としてのオレンジコート(的な要素)はやっぱり必須

アーティストごと、ステージごとの感想は、ここまで書いてきた通り。

僕の場合、フジロックに対しては、ロックよりも他のジャンル、例えばファンク、ハウス、ブルース、スカ、エスニックを求めてるんだと思う。

上の方で柴さんがTxarango後に書いたツイートの言葉を借りれば「アメリカでもイギリスでも日本でもない」ということ。

僕のその傾向は年を追うごとに徐々に強まっていて、グリーンステージと特にレッドマーキーで観たアクト数は、これまでの自分史上、一番少なかったんじゃないでしょうか。

世界的な流れで言っても、(これまでの)アメリカ的・UK的ではない音楽が、各地で同時多発的に起こりながらムーブメントやコミュニティを作っていて、さらにそれがインターネットのおかげもあってすぐに可視化できたり実際に聴けたりするわけで。

ただそんな自分の嗜好や世界的なムーブメントと「オレンジコートがなくなる」っていう今回の変化(退化)はもろに対極の事柄で。

行ってみたら行ってみたで意外と例年通りちょー楽しかったんだけど、それはもしかしたら僕がある種意図的に“オレンジコートの欠片”を探すようにしているから、っていう部分もあるのかもしれない。

考えてみれば、今でこそ「オレンジとヘブン大好きっす」みたいに自称してるけれど、僕も10年以上前はビョークとかアンダーワールドとかオアシス目当てでフジロックに行きつつも、そんな中でオレンジやヘブンの異国情緒あふれるライブに触れることで引きこまれていったんですよね。

そういう「様々なジャンル、様々な国の音楽との出会いがふんだんに用意されている」という意味において、今年のフジロックが“終わりの始まり”にならないといいなと切に願います。

実際、フェスがいくら流行ってると言っても、フジロックのようなラインナップを揃えてくれるフェスってほんと他に出てきてないからなー。

フジロックのラインナップの一部分を体現してるって意味ではTAICOCLUBや朝霧Jam、邦楽だけのラインナップだとりんご音楽祭とかはちょっと近いものはあるかもですが。

過去のことを言ってもしょうがないものの、オレンジコートがなくなった報せを受けて田中宗一郎さんが発してたツイートがとても印象的で、まだこのブログに残したことがなかったので、貼っておきます。

ただ、今年のフジロックの動員数は、公式発表だと去年よりはだいぶ改善されたみたいで。

●2014年フジロック観客数
7/24(木)前夜祭 10,000人
7/25(金) 27,000人
7/26(土) 35,000人
7/27(日) 30,000人
合計:102,000人

●2015年フジロック観客数
7/23(木)前夜祭 10,000人
7/24(金) 32,000人
7/25(土) 39,000人
7/26(日) 34,000人
合計:115,000人

確かに去年の入りは会場での実感値としてもさすがにちょっと心配になったけど、これぐらいなら来年はひとまずオレンジコートを復活させてほしいわー。ほんと。

お客さんを見ていて思ったこと

上の話とも関連しますが、今年のフジロックを見ていて思ったのは「普通の人がまたさらに増えたなー」ということ。

それが悪いってわけじゃなく、むしろそのおかげで今年動員が増えたなら、現実を受け入れつつ喜ぶべきことでもあります。

「普通の人」っていうのは、例えば他のフェスにもよく行っていそうなタイプの人。

言い換えると、フジロックはオフィシャルTシャツの着用率が異様に低いフェスとして僕は認識してたんだけど、一昨年~去年、そして今年と、フジロックのTシャツや出演アーティストのTシャツを着てる人がやけに増えたなと感じました。
(自分もデザインがかわいければオフィシャルのTシャツは買うので、もろにそっち側なんですけれど)

初日に見てた限りだと、グリーン~ホワイトの途中にあるアーティストグッズ売場の行列が15時~16時ぐらいまで絶えなかったのは、これまで見たことない状況でした。

あとは、邦楽フェスのTシャツや、邦楽バンドのTシャツも、すごく増えた(というか2年前ぐらいまではほとんど見かけたことなかった)。

ステージを観るお客さんを見ていても、明らかにヘンなノリ方をする人(僕はそういう人大好きなんですが)は如実に減った気はします。

ヘブンとかオレンジのフロントエリアあたりによくいた人たちです。
(今年は一例としてカフェ・ド・パリでのPerroskyにそういう人がいて、Perrockyがその人にYou wanna dance?wって絡んでた)

あと、エロい服装をしてる女子(≒パーリーな女子)もグッと減りましたね。

これはきっとUltra JapanだとかEDM系のフェスに流れたんだと思いますけれども。

そんな要素をあわせて、「普通の人が増えたな」と感じました。

ただ、2日目のKemuriやCaravanの感想にも書いた通り、まだまだお客さんがつくる“フジロックらしい雰囲気”は残ってます。

なので、僕が今年感じたような変化が、後から振り返って“終わりの始まり”だった、ってことにならなければいいなと切に願いますわ。

僕にとっての“終わり”っていうのは、例えばフロントエリアでもほぼ全員同じようなノリ方をするようなお客さんが支配的になったら、フジロックも他のフェスと同じになっちゃったなといよいよ感じることでしょう。

結局のところ、そういう意味ではではまだ「自分が楽しみたいように楽しむ、踊りたいように踊る」という人が多いから、フジロックは居心地が良く感じてます。

そこらへんのお客さん側の話と、上で書いたオレンジコートに代表される音楽の多様性の話は、まさに卵が先か鶏が先かで、難しいところですけれども(でもだからこそお互いに密接に連関することでもある)。

そんなことを思いながら回ってました。

これ↓も毎年思うこと。

それじゃまた来年!