2014年も年末が迫ってきましたね。
僕にとって年末は、COUNTDOWN JAPAN(カウントダウンジャパン)に4日間行くことが定番になっています。
もともとROCK IN JAPAN FESTIVAL(ロックインジャパンフェス)には2000年の第1回から通っているんですが(1年だけ行ってない)、ここ6~7年はカウントダウンジャパンにも4日間通う年末が続いています。
そこで、なんで僕がカウントダウンジャパンにこんなに通ってしまうのか、もうそれなりの年齢なのに今年も行ってしまうのか、そんな理由を書こうと思います。
結論から書きます。
- 1.とにかく快適だから
- 2.その結果、ライブを観ることに集中できるから
- 3.他のフェスにない光景と雰囲気があるから
- 4.今のロックシーンの現在地の確認、的な
では、それぞれの理由について、補足で書いていきますね。
1.とにかく快適だから
とにかく全ての原点はここに尽きる気がします。
音楽友達からよく「4日間もフルで行くなんて元気っすね!」みたいなことを言われるんですが、僕からすると「いやいや、あのフェス全然疲れないじゃん!」って思うんですよね。
(まあ幕張まで往復の移動距離はあるにせよ)
この「居心地」とか「快適性」っていう部分って、産業革命以降の人間の根源的な欲求だから、とても本質的な価値なんですよね。
カウントダウンイベントに限らず、他の音楽イベントやフェスが「ちょっと疲れたり不便があったりしてもそこは貴方の音楽愛でなんとかしてください、よろしくっす!」っていうスタンスの部分を、カウントダウンジャパンは「ういっす、お疲れになったらリクライニングチェア用意しておきましたんで!フードエリアの椅子も多めに並べときましたから!」っていう。
そもそもの考え方の原点がちょっと違うと思うんです。
また、会場に4日間いて、1日目が終わって2日目では改善されていることも、毎年発見できるわけで。
フードエリアに並ぶ動線の改善は毎年行われているし、他の例では2012-2013のCDJ1日目でいきなり出てきたシャッターのこととか(覚えてる方、いますかね)。
上が1日目にシャッターが出てきた時のツイートで、下が2日目に改善されてからのツイート。
アース&ギャラクシーとフードエリアの導線を断つシャッター、安全上の措置かもしれないけど、失ってるものが大きすぎる。音楽の面ではコスモとムーンが孤立してフェスの多様性を感じづらくなっているし、快適さの面では最も快適なはずのフードエリアに行きづらくなってる。 #CDJ1213
— いぬたく (@inutaku_) 2012, 12月 28
1日目にアースとギャラクシーで下りたシャッター、2日目は発動しなかった。やってみてダメだったら運営を切り替えられる柔軟性と改善への取り組みはもっと評価されるべきだと思う。とはいえ、1日目にシャッターを下ろした意図が未だによく分からないなあ。 #CDJ1213
— いぬたく (@inutaku_) 2012, 12月 29
で、話を戻すと、そういった人間が快適さを求める感覚や欲求・本能って、音楽への愛よりも勝っちゃうというか、それは音楽が劣るとかそういうことじゃなくて、全く違う土俵の勝負(むしろ勝負ですらない)。
だって、実際にあれだけ音楽が絶えず鳴っているCDJでも、大晦日に夜が更けたら8割~9割のお客さんが寝ちゃうじゃないですか。
音楽好きはよく「ノーミュージック、ノーライフ」って言いたがるけど、この時間帯に音楽が鳴ってる場所はあるのに9割以上の人が死んでるか休憩してる様子を見ると、ライフあってこそのミュージックだろ!と言いたくなる。だから皆さん、命は大事にしてください。 #CDJ1314
— いぬたく (@inutaku_) 2013, 12月 31
こういったお客さんにとっての本質的な価値を提供できているフェスって、未だに少ないなと思います。
だから、この後で書く「他のフェスで感じられない体験」や「他のフェスで見られない光景」が生まれることになると思うんですよね。
2.その結果、ライブを観ることに集中できるから
1.では、ゆっくり休みたい人は休みたいスペースや寝場所がある、っていうことに象徴される部分を書きましたが、実際に僕が休憩したり寝たりするかって言うと、僕自身はリクライニングチェアを使ったことはほぼないです。
というか、たぶん僕の音楽フェスの楽しみ方はかなり音楽(ライブ)原理主義的で、友達と会うよりもライブを観たい、休む時間があるならライブを観たい、って感じなんです。
そんな自分にとって、少ないご飯の時間などをちゃんと座って食べられて(しかもお客さんの流れを見極めれば屋台もそこまで並ばず)、その結果ライブを観ることに安心してエネルギーを使える、っていうのはデカいんです。
これがライブハウス単体でのイベントだったり、同じくサーキット型のイベント(フェス)だったりしたら、なかなかこうはいかないですよ。
なので、人間の本能的な「体力を過度に削らない、削りたくない」っていうところをカバーしてくれているから、結果として僕はライブに集中できるんですよね。
それって、巡り巡って、音楽を純粋に楽しみたい人にとって、とても嬉しくありがたいことなんです。
3.他のフェスにない光景と雰囲気があるから
カウントダウンジャパンってラインナップの豪華さ(ポップさ)もあってあれだけの動員を誇っていて、普段は音楽にそこまでドップリ浸っていない人も拾えているのが素晴らしいと思うんですよね。
例えば去年(2013-2014)の会場で聞こえてきた会話で、一番印象的だったのがこの会話。
CDJ、今日の終盤に聞こえてきた女子の会話で印象的だったのが「あと1年、どうする~?」。つまり彼女たちにとってのフェスってのはこのCDJだけで、夏フェスも選択肢にすら入ってないんだな、と。 #CDJ1314
— いぬたく (@inutaku_) 2013, 12月 30
例えばサカナクションのステージでのお客さんの反応を見てみても、今年のひたちなかのトリと今日のアースステージを比べると、今日の方がライトなお客さんが多いんだろうなというざっくりした印象は抱いていたけど、さっきツイートした女子の会話で確信にも変わった感がある。 #CDJ1314
— いぬたく (@inutaku_) 2013, 12月 30
「音楽フェスに行くのは1年の中でCDJだけ」みたいなお客さんを拾えてるのはCDJの偉大なところだし、それはほんとすごいことだと思う。 #CDJ1314
— いぬたく (@inutaku_) 2013, 12月 30
ライトなお客さんが多いと、そのノリ方や行動だとかにいちゃもんをつけたくなる音楽好き(?)も現れるわけだけど、わたしは基本的に「起こってることは全て正しいし理由がある」と思ってるので、周りのことをああだこうだ言うよりは自分の楽しみに没頭しますよ。 #CDJ1314
— いぬたく (@inutaku_) 2013, 12月 30
今ってフェスの飽和みたいなことも叫ばれていて、確かに一人ひとりの音楽ファンの財布が増えたわけじゃないからワンマンの動員をフェスが食ってるみたいな指摘もある部分は全くそうだと思うんですが、カウントダウンジャパンに関しては「それがなかったら音楽にお金をほとんど落とさなかった人」を拾えてるフェスなんですよね。
それは確実に音楽のマーケットを広げてるってことで、素晴らしいと思うと同時に、一人の参加者として行ってると、そういう、普段ライブハウスに通ってるわけではない子の笑顔や楽しんでる姿を見るのって、なんだか嬉しいんです。
その一方で、50人ぐらいのライブハウスで光を共有している感じも好きですけれどもね。
ただライブハウスって普段はいわゆる「音楽ファン」が集まる場で、自分にとって普段はそういう場所や機会の方が圧倒的に多くて、こういう、よりライトな人もいる場所の方が僕にとってはレアで貴重、っていう感覚です。
まあフェスとしてそういうライトな層からもお金を集めることができても、それはアーティストとマネジメント側には還元されるけどレコード会社やレーベルにはちょっと関係ない話だよね、みたいなことはちょっと別の話題になっちゃいますが。
4.今のロックシーンの現在地の確認、的な
正直、僕が参加者として一番楽しみにしてるフェスは今も変わらずフジロックだし、「当事者」としては2000年に初めてロックインジャパンフェスに行った時と今とでは、だいぶ違いがあるのも事実。
それでも僕がロックインジャパンフェスやカウントダウンジャパンに行ってしまう、行ってみたいなと思うのは、やっぱりこのフェスが一種の邦楽ロック最大の見本市的な、今のシーンがよく分かる場だからです。
それも単純に、そういうシーンを観ているのが好きっていう自分の興味からです。
まあ年末はRADIO CRAZYもあって、そっちとの違いも気になるっちゃなるんですが。
分かりやすい現象としては、去年の例だとKANA-BOON。
KANA-BOONは今年1月のHighApps Vol.10(studio coast)ではまだオープニングアクトをやってたのに、それが年末にはギャラクシーで入場規制かかるとは、日本にバンドの成り上がりストーリーってまだまだあるんだなと教えてくれてる。 #CDJ1314
— いぬたく (@inutaku_) 2013, 12月 30
こんな風に実際にギャラクシーステージから溢れる人の数や、そのファンたち、さらにはそのライブの様子とかって、もちろん会場に行かないと感じられないことがあるんですよ。
こんな会話だとかも。
CDJ、入場規制で入れなかった時に「私も○○見たかった!」じゃなくて「私も××やりたかった!(××はそのバンドお決まりのコーラスとかセリフ)」っていうのが今の子のライブ感覚をすごく表してるなと思う。ライブは「見るもの」というより「自分もするもの」っていう。 #CDJ1314
— いぬたく (@inutaku_) 2013, 12月 28
これらのいろんな事象が積み重なって、今のシーンを構成しているわけで、自分としては「ここまで付き合ってきたならまた今年も見届けるかー!」みたいな、ちょっと親戚の成長を見守る的な(違うかな?笑)気分なんです。
ただ、僕の性格的に、そのシーンを見届けた上で、どうしても誰かとそれを語りたいとか、共有したいっていう気はあんまりないんですけどね…。
ちなみに話が逸れますが、とはいえ思ったことやライブの感想をツイートするのは、そうやってオープンに誰でも読める場所に置くために自分の考えを整理してまとめられるから、っていう理由が一番大きいです。
ツイートするからにはある程度はちゃんと考える必要を感じるわけで、その過程が自分の中で楽しいんですよね。
しかもこんなことを書いておきながら、自分が当事者としてフロントエリアで楽しむバンド(Dragon Ashとか、the HIATUSとか、ACIDMANとか)は、「シーンを見る」とかへったくれもなく、全力で楽しんじゃいますし。
だから、自分が当事者として好きなバンドほど、そのバンドが置かれている状況を俯瞰的に見られていなかったりします。
でもそういう風に自分がまだ当事者として全力で楽しめるバンドがあるって、本当に幸せなことだし、それがなくなっちゃったら、それは本当に自分がフェスやライブに行かなくなる時ですよね。
今年も楽しんできます
そんなわけで、今年も4日間、楽しんできます。
こういうことを書くと、身近な知り合いからは「会場で挨拶したいとか言うの、やめとこ…」とか思われがちなんですが、ぜんぜんそういうのは歓迎ですよ。いや、まじで。
基本的に人と話したりするのは好きだし、邪魔になんて思いませんから!
まじで(二度目)。
自分からは「会おうよ!」と積極的に言わない=自分が寂しがり屋ではない、っていうだけで、人と会いたくないわけじゃないんです。
っていう自己弁護的なことを最後に言ったところで、皆さん良いお年を。
今年のタイムテーブル、未だに、1日目にTHE CHERRY COKE$か、BOOM BOOM SATELLITESか、決め切れていません(この被り、痛すぎる)。