the HIATUS The Afterglowツアーファイナル。
楽しみというか、「楽しみ」以上の今後もう二度と観られないものを味わいに行くような気分で。
そしてその事前の予感そのままではないかもしれないけれど、それを遥かに上回るものを浴びるほど味わった、最高の夜。
これは当日朝のツイート。
今夜はthe HIATUSのツアーファイナル。最高潮という言葉を今日使わずしていつ使うのか。
— いぬたく (@inutaku_) December 6, 2012
このツアーファイナルの前、約3週間前の名古屋公演も観に行っていました。
その時の感想はこちら。
the HIATUS The Afterglow Tour 2012.11.18 名古屋センチュリーホール | いぬと海
この日のツアーファイナルが難しいのは、「至福の瞬間を味わいに行く」ということと「堀江さんの(ひとまず)最後の姿を目に焼き付ける」という、感情的にはやや相反する二つの意味が重なっていること。
さようなら。そのようであるのならという、この美しい言葉の意味が正しかったら、ごきげんよく、みんなと音を出す日を楽しみにしてる。the HIATUS NHKホール 7pm
— 堀江博久(hirohisa HORIE) (@hirohisahorie) December 6, 2012
それでも、最終的には堀江さんのいつも通り飄々とした立ち振る舞いもあって、涙のお別れというより誰もがハッピーになれる大団円になって。
それもよかったなあ。
当日の夜の感想ツイート
会場から家に帰るまでに発した、感想ツイート。
the HIATUS、Afterglowツアーファイナル。きっとこの場で観てる人全員が「これはとんでもないものを観ている」と強く自覚するような、おそろしいぐらい幸福感に溢れて純度の高い150分だった。一生ずっとあの場にいてもよかった。
— いぬたくさん (@inutaku_) 12月 6, 2012
あっという間の、本当にあっという間の150分が終わって、その時の気持ちをまずは何か言葉にしなきゃと思って最初に発したツイートがこれ。
僕は普段、自分のライブ感想ツイートがどれだけふぁぼられたりRTされたりするかはそこまで気にしてないのですが(でもチェックはします。笑)、このツイートに関しては、そこそこふぁぼられ・RTしたことが嬉しかったなあ。
自分のライブの感想ツイートというものに対して、そんなにまで思ったことはなかったです。
なぜ今回はそこまで嬉しかったかって、このツイートがそれだけ同意され、広めたいと思われるのって、やっぱり当日にあの会場にいた人(もしくはこれまでAfterglowツアーを体験した人やHIATUSが好きな人)が同じように幸福感を感じていた証だと思うからなんですよね。
自分と同じようにあの感覚を他の人も味わっているのだとしたら、それは本当に嬉しいこと。
話は逸れてこれは個人的な感覚ですが、僕がライブ中にライブ以外のことを一切考えないのって、何年ぶりかでした。
たいてい、仕事にまつわることとか、「あ、こういう企画ってまだ誰もやってないんじゃないかな」みたいなことを考えちゃうんです。
でもこの日のライブはそんな余地が全くなかったということも、自分自身がいかに没入し切っていたかって表れかなあと思います。
この2~3年間に行ったワンマンライブで、ここまですごいライブは観たことがなかったです。
「すごい」という感覚の正体は、上のツイートにも書いた「幸福感」と「純度」ですね。
あー、HIATUSの感想、何をどこから書けばいいのか分からないな…。でもうちに着いたら仕事せねばいかんから、なんとかそこまでに言葉を生まねば。
— いぬたくさん (@inutaku_) 12月 6, 2012
the HIATUS1。こんなに映像化を待ち侘びるライブは初めてかもしれない。会場にカメラが入ってたのだけど、「音と映像はもちろんのこと、この空気を撮ってくれ!ここに広がる雰囲気を撮ってくれ!細美さんたちの行間にある気持ちを撮ってくれ!!」とずーっと願っていた。
— いぬたくさん (@inutaku_) 12月 6, 2012
まず全体的な話。
ほんと、この日のライブについて僕が写真や映像で表してほしいものって、あの空気だったり、雰囲気だったりなんですよね。
それを観るのが楽しみなような、怖いような。
ただ本当にthe HIATUSを心から愛している人がそういう写真や映像の仕事を請けられるとしたら、こんなに楽しくて幸せなことはないかもですね。
ライブフォトグラファー・橋本塁さんの写真を観るのも、楽しみなような怖いような。
the HIATUSのツアーファイナル撮影終了!!ほんっとうに最高なツアーファイナルだった!泣けた!!そしてめちゃくちゃ撮った!これから打ち上げ始まったとしてもずっとセレクト作業w!頑張りまーーす!お疲れ様でした! #サウシューlockerz.com/s/266838350
— 橋本塁(サウシュー&スティングレイ)さん (@RuiHashimoto) 12月 6, 2012
the HIATUS、2。2曲目の「Flyleaf」で細美さんが楽器を持たずにとても自由な身のこなしで歌っていて、今から思えばもうあのあたりから今日のライブが行き着く最高のゴールを予感させてたんだなあ。
— いぬたく (@inutaku_) December 6, 2012
この「Flyleaf」での軽やかさはとても印象的でした。
the HIATUS、3。会場の雰囲気も1曲目から「これぞツアーファイナル!」な感じで、うんうんみんなすんげえ楽しみにしてたんだよねと頷きっぱなしだった。ELLEGARDEN以降、わたしは今日でやっとHIATUSの本当のお客さんばかりが集まってると実感したわ。
— いぬたくさん (@inutaku_) 12月 6, 2012
やっぱりこの「ツアーファイナルならではの空気」はすごく感じました。
「東京」という場所も含めて。
名古屋で観た時も初めてのAfterglowツアーへの期待をさらに上回る、めっちゃ素敵なものを観たという感覚だったんですが、この日のツアーファイナルはまた全然違いました。
異様な高揚感、熱、そして純度。
あ、そう言えば冒頭のアナウンスをナヲさんが話してくれてました。
ああいうサプライズまであったら、そりゃますます高まりますよねえ。
「今日でやっとHIATUSの本当のお客さんばかりが集まってると実感」というのも個人的な感覚ではありますが、すごく嬉しかったですねー。
みんな心の底から楽しんでいることが一目瞭然というか、逆に言えば「楽しいことを味わいに来る」とかあやふやな感覚ではなくて、「the HIATUSの音楽を楽しみに来る」「それをthe HIATUSとあるいは周りのお客さんと共有する」という限りなく純粋なことが目的になっているというか。
すごく単純な例としては、「Twisted Maple Trees」のラスト、いったん終わったように聞こえるところでもみんなちゃんと分かってる(拍手しない)とか、そういう点でもあったりするんですが。
the HIATUS、4。例えば3曲目の「Ghost In The Rain」のイントロが鳴った時の「うわー、これ演ってくれるの!」っていう反応だとか、ああいうの同じ客でも嬉しくなってしまうわ(だからわたしは基本的にはツアー時はセトリとか見ない方が楽しめると思ってる)。
— いぬたくさん (@inutaku_) 12月 6, 2012
この「キター!」感といいますか、こういう高揚もすごく嬉しい。
(名古屋ではそういうのはなかったんですよね)
the HIATUS、5。名古屋公演を観たのだけど、その時とはアレンジがまた格段に研ぎ澄まされてる、と最初に如実に感じたのが4曲目の「My Own Worst Enemy」。特にコーラスが効いてて印象がガラッと変わったわー。
— いぬたくさん (@inutaku_) 12月 6, 2012
名古屋公演での感想で、「1stと2ndの曲はライブでの形が決まっていて、3rdの曲に比べると管弦楽器のアレンジが入り込む余地がなさそうに見える」という旨のことを書いたんですが、それがすっかり進化してたんですよね。
いやー、これはもうすごいとしか言えない。
同様のことは「Walking Like a Man」などでも感じました。
the HIATUS、6。1曲目「Deerhounds」でサックスがぐわーっと入るところがあるんだけど、その直前に堀江さんが左手でサックスを指差すの、めっちゃ素敵だった(合計2回やってた)。と同時にこの姿がしばらく見られないのかと思うと1曲目から涙が出たり。
— いぬたくさん (@inutaku_) 12月 6, 2012
これも印象的だったなあ。
1曲目からまさに泣き笑い状態ですよ。
the HIATUS、7。「The Ivy」のあの混沌を想起させるイントロをこれからも何度もライブで聴くのだろうけれど、その度に(Afterglowツアーの)管弦楽器の音を耳が探してしまわないかとか、そういうのは贅沢だけどまさに切実な悩み。
— いぬたくさん (@inutaku_) 12月 6, 2012
名古屋公演の感想エントリでも書いたんですが、「The Ivy」は完全に別の曲のようになってますよね。
特にイントロの混沌とした雰囲気、このAfterglowツアーで聴けたようにあそこにサックスや管楽器が入っているとその混沌さが明らかに増していたので、こういうのってライブの聴き手としては切実な悩みですよね…。
the HIATUS、8。細美さんはいろんな言葉を発していたけれど、どの言葉からも(あるいは言葉を発していなくても)今日の細美さんが心から幸せそうで、楽しそうで、そして本人も言っていたような「今までステージ歌ってて一度も行けなかったところに行けた」ことがぜんぶ伝わってきたよ。
— いぬたく (@inutaku_) December 6, 2012
例によって最初は「今日はほとんどしゃべらねえ、言葉じゃねえんだよ」と言いながら、中盤~後半はすごく上機嫌にたくさんしゃべってた細美さん。
細美語録に載りそうな言葉、印象的な言葉はたくさんあったんですが、そのどの言葉からも細美さん自身が高揚して楽しんでいる様子が(いつもにも増して)伝わってきました。
「今までステージ歌ってて一度も行けなかったところに行けた」っていうのは、「Twisted Maple Trees」の後の言葉。
この曲が終わった後、仰向けでステージに倒れ込んで、しばらく立ち上がれなかった姿は、鬼気迫るというか、「幸福感しかない鬼気」に迫られてそれが会場全体を覆っていくような感じでした。
the HIATUS、9。堀江さんがひとまず最後のライブということで、感傷と至福のバランスがすごく難しくはあったけど、当の本人がいつも通りあっけらかんとしたキャラを振りまいてくれて、それで救われた部分が多々あるなあ。
— いぬたく (@inutaku_) December 6, 2012
言い方が適切か分からないのですが、これには本当に助かりました。
堀江さんがこういうキャラでいてくれたからこそ、この日のツアーファイナルはあれだけ幸せしかない方向へ会場全体で舵が振り切れたんだと思います。
the HIATUS、10。堀江さんのピアノ、徳澤さんのチェロ、そして細美さんの3人だけの「Little Odyssey」で、堀江さんたちの方を向かって歌う細美さんは反則。あれは感傷的にならざるを得なかったよ。お客さんにほぼ背中向けて歌う細美さんを観たのも初めて。
— いぬたく (@inutaku_) December 6, 2012
「Little Odyssey」の2番ぐらいから、細美さんが左後ろの方を向いて、堀江さん&徳澤さんとトライアングルを構成するような形になったんですよね。
そんな風に歌う細美さん、初めて見ました。
もしかしたら細美さんはただ単に気持ちよかったからそうしたのかもしれないですが、堀江さんラストのライブでそういうことをされたら、観ているこっちとしては感傷的な想像をせざるを得ないわけですよ。
そして歌っている曲が「The spaceship is gone, Carried away, The spaceship is gone, leave you behind」、「You with hundreds of flowers, smiling」でしょ。
もう反則でしょう、それは。
レッドカードですよ、レッドカード。
細美さんは「5人でやる曲はしばらくこれで最後です」と言っていたのが「ベテルギウスの灯」。
この曲も2ndが出てからライブハウスだったり、東北や四国の野外だったり、それこそいろんな場所で聴いてきた曲なんですよね。
ここはまた泣き笑いタイム突入ですよね。
言っておかなきゃいけない、「Souls」
終演後のツイートでは書けなかったんですが、ジェイミー・ブレイクが来てくれたのは本っ当に嬉しかったです!
「Souls」をジェイミーのボーカル込みで聴けたあの瞬間は、一生モノの記憶と言っても過言じゃないです。
名古屋公演では坂本美雨さんがその代わりを務めてくれていたのですが、やっぱり声質ってすごく大事で。
この「Souls」という曲に関しては、僕にとってはここは何が何でもジェイミーじゃなきゃダメなんです。
(と、逆に名古屋公演で思い知りました)
その「思い人」に出会えた個人的な感傷も含めて、この4分間の至福さったらありゃしなかったですよ。
あー、これはライブ盤をまた観たい、聴きたい。
再び味わえるかが不安なほどの幸福感
最近、ライブの感想で「幸福感」や「多幸感」っていう言葉が流行ってるんじゃないかなあという気がしています。
(僕の周りだけですかね)
それはきっと社会や世の中の醸成が暗くなっていることと無関係ではなくて、そこへの反動として、「せめてライブハウスぐらいではハッピーになりたい、幸せを感じたい」ということなのかなと、僕は解釈してます。
ただ、この日のthe HIATUSのツアーファイナルは、そんなよく使われる「幸福感」とは確実に一線を画した、「幸福感って本当の意味ではこういうことだよね!本来はこういう場合に使う言葉だよね!」と感じるものでした。
何かへのカウンターや反動とは一切無縁なところでの、the HIATUSが3年間続けてきた事とこのツアーだけの特異な編成が最高なところでぶつかり合い、そしてずっとついてきたお客さんがこれまた最高な形で応える、という、奇跡のような2時間半。
観終わった後は、冒頭のツイートに戻って、「とんでもないものを観てしまった」としか思えなかったです。
これは音楽だけの話ではないんですが、僕が見も知らぬ隣の人と肩を組んで喜び合った瞬間って、覚えてる限りでは過去に一回しかないんですね。
それは、1997年11月8日、国立競技場でのフランスワールドカップアジア最終予選の最終戦で、それまで外しまくっていた中山がCKからヘディングで3点目を決めた瞬間なんです。
わたし、この2012年12月6日のthe HIATUSのライブが終わった時、隣の見も知らぬ人と肩を組んで喜び合ってもいい!と思いました。
(まあ、実際にはしなかったんですが)
それほど、とんでもなく幸せで突き抜けたライブでした。
これからも、僕はこのブログエントリをたまに読み返しては、「ああ、あれは本当に良いライブだった」と思ったりするのでしょう。
本当に最高すぎる一夜の体験でした。
※
「Souls」のAfterglowバージョンがちょっと観られる、このツアーとDVDのトレーラー。
レビューなどをまとめました。
the HIATUS @ NHKホール | 邦楽ライヴレポート | RO69(アールオーロック) – ロッキング・オンの音楽情報サイト
the HIATUS/2012.12.6 The Afterglow Tour 2012@NHKホール – Togetter
ライブレポート:the HIATUS 「The Afterglow Tour 2012」@NHKホール1日目 2012.12.5 – はりもぐらの部屋。 –
※こっちは1日目のレポート。
the HIATUS The Afterglow Tour 2012.12.6 NHKホール セットリスト
1.Deerhounds
2.Flyleaf
3.Ghost In The Rain
4.My Own Worst Enemy
5.The Tower and The Snake
6.Bittersweet / Hatching Mayflies
7.Shimmer
8.Broccoli
9.The Ivy
10.Little Odyssey
11.Monkeys
12.ベテルギウスの灯
13.Snowflakes
14.Walking Like a Man
15.The Flare
16.Superblock
17.Insomnia
18.Twisted Maple Trees
19.Souls
20.On Your Way Home
(encore)
21.紺碧の空に
22.Silver Birch
※
このAfterglowツアーへのリハ風景を収めながら、すでに立派な作品と化している映像集。