ACIDMANのドキュメンタリームービーを見てきました。
彼らの(特に大木伸夫さんの)精神的な拠り所や、普段の3人の姿が見られて、
観ることができてよかったと強く思うムービーでした。

「scene of “to live”」を名づけられたこのドキュメンタリーは、
2012年1月にACIDMANの3人が“人類発祥の地”アフリカのケニア~タンザニアを巡った旅を記録したもの。

実はチケットは取ったものの行くまでどういう内容か知らなかったんですが(笑)、
ACIDMAN好きとして、これは観てよかった!

ACIDMAN scene of "to live"


終演後の僕の感想ツイート。

星野道夫さんの大好きな言葉の中に、こういうものがある。
(正確ではないので、いま覚えてる限りの文章だけれど)

私たちが今こうして生きている間でも、アラスカでは生き物がそれぞれの営みをしている。
日々の暮らしの中で、そこに少しでも意識を割けるかどうか。
それは天と地との差ほど大きい。

この感覚って、僕が生きている中でとても大切だと思っているもの。
そういう感覚を音楽を介して共有できる稀有なアーティストがACIDMANであり、大木伸夫さん。

また、このムービーからはより素顔の3人の姿も垣間見ることができた。
とは言っても、ライブ中の仕草やMCを何度も観たことがある人なら、
「だよね、だよねえ」と頷いてしまうシーンばかりだったけれども(笑)

それぞれの人柄について、このムービーから思ったことを改めて。

■浦山一悟さん

いやー、このバンドのキーマンだと思いました。
イチゴがいるから、このバンドは成り立っているんだね。

大木さんみたいにストイック過ぎるほどストイックな人の周りには、
やられてもやられてもへこたれないM気質であり、
どんなことをしても憎めない性格であり(周りは本気でイラッとすることもあるんだろうけど)、
そして大木さんを無条件にリスペクトして止まない、
そんなイチゴみたいな人が絶対に必要なのだと思う。

泥酔しながらACIDMANについて語り、そのまま寝て、
翌日に寝坊して財布が(メンバーの手によって)売りに出されてる、
という一連の流れなんて、天才的としか言いようがない。

「heritage」をヘリタゲと呼んで奇妙なポーズをするシーン、
マサイ族の衣装をもらってアフリカの人たちからも注目されてるシーン、
素晴らしいキャラだと思う。

ACIDMANファンとして、イチゴには最大級の感謝をしたい。

■佐藤雅俊さん

まさに音楽家(ミュージシャン)という肩書きが相応しい人、
という思いを強くしました。

大木さんとの違いは、受け止めたものを言語化するかどうか、
っていうところなのだと思う。
(それが瞬時にできる大木さんは、やはり作詞家でもある)

ドキュメンタリーとしてインタビューという形になると、
どうしても言語表現になるから、目立ちにくいかなあ。

でもそれを言葉ではなく音楽の面で表現するのがサトマなんでしょう。
実際、インタビューで「ここでもらったものを咀嚼していきたい」って言っていたし。
その彼の中での回路を見られたような気がして、
一人で頷いていました。

■大木伸夫さん

こういうドキュメンタリーを見ると、より一層大好きだとしか言えない。

考えてみたら、上で書いたような星野道夫的な世界というか、
僕が大切に思う自然観って、音楽の分野では共有できないと思ってたんですよ。
というかむしろ、共有できるかもとすら思ったことがなかった。

それがたまたま10年前から最初はメロディきっかけで好きになったバンド、
それからライブも観続けてもっと好きになっていったバンドと、
偶然なのかなんなのか、
自分の自然観(その面での価値観)まで共有できることを知った喜びと言ったらね。

こういうのって繋がるんだなあ、と思います。
それはとても嬉しいこと。

ACIDMANに関して言えば、
確実に僕は「彼らの姿勢やスタンスにお金を払ってもいい」と思ってる。

音楽を超えてそのアーティスト自身・人間性に対して賛同するのって、
そういうことができるような環境を提供してくれるのって、
とても現代的なことだと思う。

音楽CDが売れない、ライブハウスも少なくなっていっている、
そんな状況の中で、ACIDMANとファンの関係ってとても幸福な形だ。

最後に、脱線気味な補足。

自分が本質的に好きなものって、10年や20年では変わらないんだなあ。
そしてそれを心の中で大切に持ち続けている限り、
いつかそれを共有できる相手が見つかるもんなんだねえ。

そのアフリカ、タンザニアでMVを録った作品。

ACIDMANを知らない方のために、
こういう曲もあるんだよ、とぜひ伝えたい。