amazarashiのライブに初めて行ってきました。


amazarashi@渋谷公会堂 | 邦楽ライヴレポート | RO69より)

amazarashiを熱心に聴くようになったのは2011年の秋から。
ちょうど彼らが9月に恵比寿LIQUIDROOMでライブをやった頃からでしょうか。

僕が音楽アーティストに求めるものって、
まずはメロディや音という、まさに「音楽」に他ならない。
というのはつまり、歌詞は二の次でいいと思っているんです。


amazarashiは特にその歌詞の世界がまず取り上げられがちだけれど、
僕は言葉だけがほしいのなら小説や短文や詩を読むので、
音楽を聴くのだったらまずは音楽を求めたい。

その点、amazarashiは秋田ひろむの声と楽曲のアレンジ、
どちらも好きだなと思った。
だから聴き始めた。

もちろん「おや、これは歌詞がすごくいいな」とは思っていたけれど、
あえてドップリ歌詞(秋田ひろむ)の世界に浸らず、
音楽の部分を意識的に聴いてたフシもあります。
この日のライブのために。

そんな状態で臨んだ、初めてのamazarashi。

ステージの前にでっかいスクリーンが吊るされている。
(そういうライブ形式なんだということも行って初めて知った)

ライブ中はそのスクリーンに一曲ごとに、凝ったアニメや映像が映し出される。
これだけのクオリティがある映像を一曲ずつ用意するアーティストってなかなかいない。

初めて生で聴いたamazarashiの音楽、
秋田ひろむの声が想像以上にすごかった。
最初から最後まで声の張り・勢い、そして気持ちの乗り方がすごい。

作詞家というより、音楽家というより、表現者というより、
まず一人のボーカリストとして稀有な才能なんだな、と。

ライブはどうやらボーカルとキーボードの他に、
オーソドックスなギター、ベース、ドラムの5人でやるようだ。
(スクリーンの向こう側で、5人の姿はあまりハッキリ見えない)

音源よりもギターなどのバンド感が溢れる音づくりになっていた。
ただ、途中で「ああ、ここは映像の方が勝っちゃってるな」と思ったのも事実。

映像が表現し過ぎてしまっている部分もあるんだけれど、
バンドのアレンジはさらにベターを追及できる余地があると思う。
ところどころ、“よくあるアレンジ”になってるなあと感じた。

それだけに「これ、バンドじゃなくて打ち込みやテクノ風にしたらどうなんだろ?」
とも思った。
その場でふと思いついただけのアイディアだけれど。

映像による視覚的な高揚に比例するように音楽に対してもそれを求めたいのだけれど、
僕の中ではそこまで音楽がついてこないことが何度かあった。
自分を指揮者に例えるなら、
フォルテッシモを求めるんだけれど演奏者がそれに応えてくれない感じ、というか。

セットリストはこの通り。

1.プロローグ
2.デスゲーム
3.空っぽの空に潰される
4.アノミー
5.つじつま合わせに生まれた僕等
6.美しき思い出
7.ピアノ泥棒
8.冬が来る前に
9.爆弾の作り方
10.夏を待っていました
11.ワンルーム叙事詩
12.奇跡
13.コンビニ傘
14.古いSF映画
15.カルマ
16.未来づくり
17.千年幸福論

「爆弾の作り方」からのラストへの流れはamazarashiヒットパレードとも言える、
きっと多くの人が好きな歌ばかり。

そして最後の二曲、「未来づくり」と「千年幸福論」のスケールと言ったら。
アルバム「千年幸福論」がリリースされたのは11月16日だけれど、
それ以前のライブが全く想像できない。

「いや、この二曲がないと成り立たなくない?」と思ってしまうほど、
この二曲で終わるamazarashiのライブは完成し切っている。

個人的に助かった(?)のは、
この二曲に関して歌詞を完璧に覚えた状態で行ったわけではなかったこと。
歌詞とこの曲の意味を知っていたら、号泣してたんじゃないでしょうか。

思えば僕はずっと僕の事 嫌いだったんだ そんな事 忘れてたよ
何でだろう 多分あなたに出会ったからです
思えば僕はずっと人のこと 疑ってばかりいたよな
相変わらず笑うのは下手 だけど笑う数は増えました
「未来づくり」

僕は精一杯僕を肯定するよ
ただ僕を 信じてくれたあなたを 肯定する為に
And I will say ありがとう ただいま じゃあね
未来は こんな風に 当たり前に 出来ていくのかな
「未来づくり」

電車の脱線事故が起こったって 夕方のテレビニュースでやっている
亡くなった人の家族や恋人の 悲しみに目をそむけてしまう
終わりはいつかやってくると知った時 初めて人が愛しくなる
あなたじゃなくて良かったと思う僕は やはり浅ましい人間でしょうか
「千年幸福論」

千年続く愛情を 千年続く友情を 千年続く安心を 千年続く幸福を
千年続く自負心を 千年続く安らぎを 千年続く友愛を 千年続く熱情を
千年続くいたわりを 千年続く尊厳を 千年続く生命を 千年続く喜びを
終わりがあるから美しい そんなの分かりたくもないよ
終わりはいつも早すぎる
「千年幸福論」

この二曲の前、秋田ひろむが唯一話したMC。
その言葉がとても心に伝わった。

誰にも期待されてなかった人間が、なんとか踏ん張って、しがみついて渋公のステージに立てたというのは、みんなの励みになるんじゃないかなと思ってます

もちろん、言葉だけでなくその朴訥としながらも芯の強い人間性もよく分かった。

ライブが終わった後にTwitterのお友達とごはんに行ったんだけど、
ライブ前にamazarashiの曲と歌詞をもっと知っていたら、
たぶん人とごはんなんて食ってられない状態だったことでしょう。

3月のSHIBUYA-AXも行く予定。
今度はもっと曲と歌詞を聴き込んだ状態で。

正直、こういうタイプのライブは渋谷公会堂みたいな椅子席がちょうどよくて、
スタンディングってちょっとつらいなとも思うのだけれども。
でも、よりamazarashiを知った状態で、もう一度観たい。

amazarashiの音楽は美しい – ROCKIN'ON JAPAN 編集部日記 | ブログ | RO69(アールオーロック) – ロッキング・オンの音楽情報サイト