「新入社員の頃は辛くても必死に我慢して頑張れ」といういったんの結論を出した話

仕事柄かなんなのか、20歳そこそこの若い男女と話すことが多いです。

今も学生をやっている子もいれば、学生の頃から面識があって今は社会人1年目・2年目になってる、っていう子も。

彼ら彼女らにとって、仕事とか「会社で働く」とかってことは、もちろん一大関心事なわけで。

僕も、時にはただただ話を聞いてあげるという立場で、時には「自分が同じ立場の学生・新入社員だったらどうしたかな」という立場で、時には「自分だったらその子が後輩でいたらどうするかな」という立場で、しゃべります。

で、最近なんですが、いったんの結論が出たんです。

それは、「新入社員の頃はどんなに辛くても、死なない程度に必死に我慢して頑張れ、2〜3年ぐらいは」、という風に思うようになりました。

前までは、「まあ無理しなくてもいいよ(無理しなくても優秀な人は伸びるし)」と思う派だったんですが、最近は「いや、ちょっと無理してでも必死に頑張れ、というか我慢しろ」と思うようになりました。

以下、少し長いですが、そう思った最近の出来事の過程を書きます。

まず、自分が新入社員だった頃のケース

僕の場合、大きな会社に新卒で入って、新入社員から4年目まではとにかくその部署での仕事がつまらなかったんですね。

辛いこともあったし、3年目ぐらいになると、「もういつ辞めようかな」としょっちゅう考えてました。

でも、いま振り返ってみれば、その会社に入って一番感謝していることの一つが「クソみたいな学生だった自分に社会人としての基本を教えてくれたこと」なんです。

それは特に、新入社員からの数年間で学ばせてもらったことです。

という風に、僕は個人的な体験としては、「新卒で入ってから数年間は辛いし仕事は面白くないしでほんとにイヤだった。でもそこで学んだことがあるから今の自分がある」と思ってます。

でもそれを他の新卒の人たち全員に当てはめるつもりもなかったんですね。

そもそも、自分がまじで辛かったので、それを人に強いることってどうなんだろ(しかも全員が自分の直下の後輩ってわけでもないから責任も取れないし)と思ってました。

辛すぎる1年目を過ごして2年目を迎えた男子の話

で、こないだ僕が話を聞いた、社会人2年目の子がいるんですね。

彼は、去年に新卒で就職したんですが、かなりハードな労働環境、そして上司が訴えれば勝てるぐらいのパワハラな人だったそうです(この上司を“パワハラ上司”と記すことにします)。

彼の話は1年目の頃からたまに聞いていましたが、とにかく仕事と会社(というかそのパワハラ上司)がイヤで、ずっと辞めようかどうか迷ってたんですね。

そのパワハラ上司は社内でも問題があるという共通認識がある人のようで、周りの先輩からは「あの人の下で大丈夫?」と心配され、人事からも何度も面談され「上司を替えようか?」と提案されるような感じだったそうです。

ただ、その彼は(僕から見ても去年はだいぶ病んでる感じでしたが)ギリギリのところで「いや、このままでいいです。もうちょっと頑張ります」って言ってたみたいなんですね。

そのパワハラ上司はキレやすいのと同時に、仕事はめっちゃ細かいところまで見てる人で(だから新卒の彼はしょっちゅうガン切れされるわけですが)、そういう面では厳しく指導をする人でした。

そして新卒の彼は今年2年目になり、ちょうど1年半たったところで、ついている上司が替わったという話をこないだ聞きました。

替わった上司も、その社内で二番目に問題がある厳しい上司らしいのですが(笑)、ただ、一人目のパワハラ上司にあまりに厳しく教え込まれたために、一人でかなり仕事を任せてもらえてるって話でした。

任せてもらえるだけでなく、新しい上司からは「あいつは使える、大したもんだ」という評判だとか。

2年目の彼は、「お陰様でこんな風に言ってもらえるまでになりました」ってパワハラ上司に報告したい、とまで言ってました。

辛すぎる新入社員時の経験をどう捉えるのか

その話を聞いて、僕は彼に訊いてみました。

「なるほど、1年目は辛かっただろうけれど、そこで極度に厳しく教えられたから今は2年目にして独り立ちできるぐらいの実力になれたってことね。じゃあ、そんな風にめっちゃ辛いけど得るものが大きい入社からの1年半と、そこまで毎日ガン切れされるほど厳しくはないけど得るものもまあ普通っていう1年半、今から振り返るとどっちがよかった? もしいま選べるとしたらどっちを選ぶ?」

この質問に、彼はこう答えてました。

「あのパワハラ上司の下にいた時期に戻るのはイヤだけれど、あの時期があった方がよかった。今でもそっちを選ぶかもしれない」

この答えが、僕としてはだいぶ意外でした。
と同時に、ちょっと嬉しかったんですよね。

その嬉しさの正体って、彼がほんとに成長したんだなということももちろんですが、たとえ嫌われるぐらい後輩をしごいたとしても、教えている内容が正しくて実力がちゃんとつくという結果があればその意味は後輩にも通じる、というケースがあると実感したからかもしれません。

また同時に、自分はそういう時期があったことを今では肯定的に捉えているくせに、他人(例えばこの彼)の根性とか粘り強さとかを、他人だからといってちょっと過小評価していたのかもしれない、とも反省しました。

まあ、教育論ってこれといった答えが出しづらいもので、こんな話を一つ聞いたからって、完全にそっちに傾くわけではありませんが、僕にとっては最近の印象的な話でした。

もちろん人にもよるんですけれどね。

過去の自分のことを自分で「頑張った奴」だと思っているように、いま自分が接している若い子たちも「やれば頑張る奴」「しがみついてくる奴」(も意外といる)と信じてもいいのかも、と思った話でした。

※2015/10/29 16:25 追記
僕がけっこう好きな人からコメントをもらったので、ここに貼っておきます。
いやほんと、結論としてはそういうことだと思います。

「逃げるのはカッコ悪い、頑張る・踏ん張る方がカッコいい」そう思える間は(まだ、自分が他人からどう見えるのかを気にする余裕があるので)踏ん張った方がいいと思うす。
ただ、それすらどーでもいいって思うようになったら、いよいよ限界なんで全力で逃げた方がいいっす。
リカバーは、時間はかかるかもしんないけど、必ず出来るので。

それよりも性根が腐っちまって人間が歪むことのがもったいないので、そこまで切羽詰ったら逃げた方がいいっす。

戦略あるいは戦術的には、撤退の判断をする方が勇気のいることだと思うので、その判断をするまでやり尽くしたってことが大事なことだと思います。
ってのが、俺の私見です。