コートジボワール対日本

Ivory Coast-Japan Live

いやー、これは振り返るのがなかなかキツい試合ですね。

試合前はすげえ期待感だったんだけどなー。

とにかくこの試合の日本は、アグレッシブに(積極的に)戦えていなかった。
攻撃においても、守備においても。

直近のテストマッチで毎回のように先制されて、監督も選手も「これじゃいかん」って思っていることはよく分かる。
しかもコートジボワール相手に先制されたら、両翼のジェルビーニョとカルーに広大なスペースを与えることにもなりかねないので、そりゃとても怖い。

なので、立ち上がりを慎重に入る、具体的に言えばラインをいつもほどは高くせずプレッシャーをかける位置も低めにするっていう選択があり得ることは、よく理解できる。

ただ、それにしてもあまりにアグレッシブさに欠けるというか、解説の岡田さんも「守備のスイッチが入らない」と言っていたけれど、守るにしても主体的に「ここでボールを奪う」というチームとしての意図が見えないし、完全にリアクション型の守備になっていた。
で、そんな戦い方はこれまでしてきてもないし、つまり実戦でのテストもしてきてないわけで。

この部分は、大迫のコメントにチグハグさが表れてる。

(固かったのはW杯でプレッシャーがあったから?)一人ひとりの距離が遠かったというのもあるし、全体的に重心がちょっと下がったような戦い方だった。もっともっと前から行ければと思いました。

(監督からの指示は?)いつも通りやることと、あとはボランチのケアをすることを言われていたけど、守備で走らされた感じがすごくあります。

(先制点を取れたことで、固さは取れなかったか?)固さというよりは、前半は自分と(本田)圭佑さんが相手に走らされた感があったので、あそこでもっとスイッチを入れられれば、全体的にラインも上げられたと思うし、引くときとの使い分けができればよかったです。

(前から行こうというのはチームで決めていたのか?)立ち上がりは前から行こうと話していたけど、行ったときに(後ろが)ついてきていなかったから、そこは改善しないといけないです」

大迫勇也「もっともっと前から行ければ」 (スポーツナビ) – Yahoo!ニュース

でも大迫のコメントによれば、「前から行こう」っていう話はあったんだよね。
だとすれば、大迫と本田がチェイスした時に、最終ラインとボランチはもっと前に行かないといけないよね…。

この原因が何なのか、ザッケローニ監督のディレクションが選手たちを過度に(過敏に)ミスリードしてしまったのか、もしくは選手たちの精神作用で自分たちから自滅していくメンタリティになってしまっていたのか、どっちの部分が大きいかは分からない(おそらく後者なんじゃないかと思うけど)。

が、観ている側としては「一体どうしちゃったの?」というか、「ええ!ここに来てそれ!?」というか、ぜんぜん釈然としないのです。

かと言ってコートジボワールもカウンターやポジティブ・トランジションからチャンスを生む以外にポゼッションから緩急をつけられるチームでもないので、なんだか薄気味悪い、テンションが上がらないままヌルヌルと進んでいく試合になった。

とはいえ、本田の先制ゴールで全てが好転するかも、っていう大きな期待感があったわ。

コートジボワールのマーキングの緩さも多分にあったけど、最初のトラップからシュートまで完璧だった。

「プロフェッショナル 仕事の流儀」とか前後編とも観てると、ゴール後に本田が走って行く姿を見るだけで泣けてきたわ。

その後、内田がPA内に進出するシーンもあったけど、それでもなお日本はアグレッシブになり切れない。
そしてここまで「守備に自分から走りに行く」んじゃなくて「走らされてる」っていう状態だと、そりゃ山口螢や本田のポジションは疲弊するわ、とも思う(実際、フル出場した二人は、後半には疲労からと思われるミスがかなり多かった)。

前半の終わり頃は、もうこの45分はなかったことにして、それでもリードできている僥倖に感謝しつつとにかくハーフタイムになってくれ、と思ってました。

ところで香川のあの自滅っぷりは何なんでしょうね。
精神的なものとしか思えないんだけど、あれも釈然としないわー。

後半の立ち上がりの日本は、ハーフタイムで檄を飛ばされたんだろうっていうことは見えるぐらいに、ちょっと改善された感があった。

遠藤を投入するタイミングがハーフタイムでなかったのも、これは推測に過ぎないけれど、後半の立ち上がりにアグレッシブさを取り戻せたこと(自分たちでゲームをコントロールできることへの兆候)を確認してから投入したい、っていうザッケローニ監督の意図はあったんじゃないかな。

で、実際にその兆候は見えていたので、あとは追加点を奪うことと自分たちでゲームをコントロールすることを目指して遠藤を投入した、と。
これも、もしそうだとしたら、僕はとても頷ける流れ。

しかしまあその賭けに破れちゃうわけですよね。

後半の(特に遠藤が入ったことによる)左サイドの守備の機能不全を指摘する声も多くて、そりゃ確かにそうなんだけど、もっと根本的な問題は、やっぱり前半から通じて日本が主体的に戦えていないこと、だと思う。
そもそも前半からオーリエやジェルビーニョに日本の左サイドは脅かされてたわけだし。

まあでもドログバが入ったことによって、コートジボワールの選手が落ち着きと自信を取り戻した、っていう精神的な作用はあったんだろうねえ。

ところで終了間際の、吉田麻也を前線に上げてのパワープレーは、僕は「あの試合の状況では、あれもアリ」だと思ってます。

まずその試合のそれまでも、そしてパワープレー後の結果論としても、日本はコートジボワールに対してエアバトルでは勝っていた、ということ。

ちょうどFourFourTwoがツイートしてたんだけど、一試合を通してのエアバトルは日本は25戦13勝で、特にコートジボワールのPA内では3戦3勝、コートジボワール陣内では13戦8勝だった、と。

コートジボワールもドログバを吉田につけるということはしていなかったから、CBのバンバのところさえ避ければ、相方はゾコラだし、両SBの身長も低いし、ギリシャ(マノラスとパパスタソプーロス)とコロンビア(ジェペスとサパタ)のCBセットに比べれば、このグループリーグで守備陣に最も高さがないのはコートジボワールなので、パワープレーをするならこの試合、っていうのは理解できる。

そして繰り返すけど、パワープレーから「ひょっとしたら」っていうチャンスの芽は少しだけ見えたし、もうあの状況でそれまで85分間何もできなかった繋ぎによる崩しを狙うよりも、(とても残念だけど)現実的に可能性は高かったんじゃないかと思う。

まあ「じゃあ柿谷を入れた意味は?」っていう点はあるし、これを残りの2戦でも行うのは止めてもらいたいけれど、あの状況ではアリだったんじゃないですかね。

しかしまあ、結果と内容については残念というか、脱力感しか感じないよね。

まあでもあと2戦、選手たちの立ち直りを信じるしかないわ。

以下にいくつかレビューを貼っとくけど、僕としてはフモフモさんの論調に一番同意。
戦術的な、そしてデータ的な部分はそりゃその通りなんだけど、長谷部も言っているように、アグレッシブにできなかった精神面が一番の本質的な問題だったんだと思う。
(ていうか、それ言うなら中央にいるキャプテンのあなたが修正してよ、って言いたくなるんだけど…)

「相手が良かったわけじゃない。90分間を通して、ずっと自分たちのリズムでできなかった。先制してから引いてしまって、守りに頭がいってしまった」

「このチームは、1点を守りきるチームづくりをしていない。ボールを簡単に失う場面があって、そこからピンチになった。負けたことは悔しいけど、自分たちのサッカーができなかったことが一番悔しい」

キャプテン長谷部が悔やむ 「できなかった自分たちのサッカー」 (Soccer Magazine ZONE web) – Yahoo!ニュース

日本代表初戦を落とす!ジャパンスタイルを貫けずコートジボワールに普通に完敗の巻。 : スポーツ見るもの語る者~フモフモコラム

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