Beirutの来日公演に行ってきました。
Beirutのことはもともと好きだったのだけれど、2011年にリリースされた「The Rip Tide」というアルバムが特にものすごく好きで。
この日、僕にとっても“待望の”来日公演。
「Beirutって誰?」という方はどうぞこちらの動画を。
ちなみにこの日のライブは追加公演で、本来の東京・大阪公演はトクマルシューゴがオープニングアクト。
この日はオフィシャルHPには何も書いてないもののチケットには「Beirut/他」と書いてあったので、どっちか分からない状態でした。
そんな感じでO-Westに行ったら、どうやらこの日はBeirutだけだったようで、正直すごく嬉しかった。
トクマルくんも何度か観たことはあるのだけれど、申し訳ないが今回はBeirutだけをがっつり聴きたかった。
数日前の東京公演を観に行っていたTwitterでフォローしてる方も「トクマルくんが霞んでしまった」と書いていて、僕もそういう予感しかしなかった。
O-Westのステージに並べられたたくさんの楽器を見て、「いよいよBeirutが観られるんだ」という幸せな実感に襲われる。
スーザフォンっていう、肩に担ぐぐらいデカい管楽器なんて、クラシック以外の普段のライブで滅多に見ることないからなあ。
そんな楽器が置いてある、というだけでも高揚感が高まる。
そして登場した、ザック・コンドン率いるBeirutの6人。
後方にドラムとベースの2人、前方に4人。
その4人が、次々に楽器を変えてはBeirutの音を表現する。
左側にいたアコーディオンが音の肝となりながら、トロンボーン、ウクレレ、グロッケンシュピール(鉄琴みたいなやつ)、ピアノ、そしてスーザフォン。
ザック・コンドンが間奏でトロンボーンを吹いてダブルトロンボーンになる瞬間もけっこう多くて、その時の「キター!」感がすごかった。
管楽器って素敵だ。
ライブでこれほど心の底から「うっとり」という感触はしばらく味わっていなかった。
これはライブ中に思っていたことを終演後にツイートしたもの。
Beirutのライブの幸福感や温かさは、まるで蠟燭のようだと思った。蠟燭の灯っていくら見ていても飽きないのと同じように、どんな曲をどれだけ聴いていてもずーっと満ち足りたまま見ていられる。
— いぬたく (@inutaku_) 1月 23, 2012
一つ一つの曲がどう、というわけではなく(そもそも曲名を覚えてないものも多い)、全てがBeirutの心地よさに溢れていて、まさにいつまでも観ていられそうな時間だった。
いや、いつまでも観ていたかった、だな。
Beirut、ライブはアコーディオン、トランペット、ホルンといろんな楽器使いながらも基本的に音源に忠実だったけれど、その中でもドラムのちょっとした激しさがいいアクセントだった。さっきBeirutのライブを蝋燭に例えたけれど、ドラムは蝋燭の揺らぎのようだった。
— いぬたく (@inutaku_) 1月 23, 2012
そうそう、ドラムにけっこうパワーと激しさがあって、それがすごくいいアクセントになっていた。
曲単位で言うと、「Nantes」や「A Sunday Smile」や「East Harlem」はとても好きな曲で、ここらへんはイントロが流れた瞬間に「うひゃー!」と思いました。
ただ「A Candle’s Fire」をやってくれなかったのだけが心残り。
何故やらなかったのかは分からないけれど、次の来日まで待てってことかい(涙)
http://www.youtube.com/watch?v=-3q4g9bRg1I
MCでちょくちょく話すザック・コンドンは、話し方も所作もとてもチャーミングな人だった。
アメリカにいながらこういうワールドミュージックを志向する性格を物語っているような。
ザックのような中~低音域で味がある声ってすごく沁み渡る。
売れる音楽の一つの要素って「高音ボーカル」というのがあるけれど、こういうボーカルの曲が成功を収めてるのって嬉しい。
ラスト、客電がついて終演のSEが流れて、さらに終演のアナウンスまでされてもお客さんからアンコールが続いてた光景が素敵。
そりゃそうだよ。
こんな音楽、ずっと聴いていたいわ。
ところで、この週はFleet FoxesとBeirutが同時に日本にいたという素敵なタイミングでもあった。
両方の公演に行った人も(僕を含めて)きっと多いはず。
その両方を対比した表現で、これはすごく腑に落ちて素敵だと思った。
RO69の松村雄策さんが書いたもの。
この表現はよく分かるなあ。:”この前観たフリート・フォクシーズが山の上の星空に描かれた宇宙の絵巻だとしたら、ベイルートは森の中の小屋に招かれる素敵な音楽会のようだった”:rockin’on 編集部日記 ベイルート、温かかった ro69.jp/blog/rockinon/…
— いぬたくさん (@inutaku_) 1月 23, 2012
Fleet Foxesが「山の上の星空に描かれた宇宙の絵巻」で、
Beirutが「森の中の小屋に招かれる素敵な音楽会」。
なるほどねー。
Fleet Foxesの僕の雑感はこちら。
Fleet Foxes 2012.1.20@新木場studio coast – いぬと海
Beirutが終わってO-Westから出てみたら、渋谷はすごい雪だった。
東京でこれほどの雪って何年ぶりだろう、というぐらいの。
(実際、7年ぶりの大雪だったらしい)
Beirutのライブはここが日本であること、これが日常であることを吹き飛ばしてくれるような空間で、その魔法がまだ解け切ってないんじゃないかと思った。
もしくは、センチメンタリズムすぎるけれど、神様がその魔法をもうちょっと長続きさせてくれたかのような。
まあ、僕はそんな大雪の中を「寒みー!」と半ば文句を言いながら、足を滑らせないような日常的な注意を払いつつ歩いて帰ったのですが。
Beirutのような音楽を日本でも聴けてよかった、と大粒の雪の中が降る街でしみじみと感じている。
— いぬたく (@inutaku_) 1月 23, 2012
ちなみにセットリストは、この日ではなく1/18の分を撮っていらした方がいたので、リンクと書き起こしたものを貼っておきます。
僕はBeirutの曲名と名前が一致しないのでこの日と全く同じかは分からないのですが、ご参考までに。
Beirutセットリスト。撮らせてもらいました(ありがとう) Instagram
1.Scenic World
2.The Shrew
3.Elephant Gun
4.Vagabond
5.Postcards
6.East Harlem
7.A Sunday Smile
8.Wroclai
9.Nantes
10.Port of Call
11.Cherbourg
12.Goshen
13.After the Curtain
14.Sante Fe
15.Penalty
16.My Night With The Prostitute From Marseille
17.The Gulag Orkestar
この評も載せておきます。
ベイルート @ 渋谷O-WEST | 洋楽ライヴレポート | RO69(アールオーロック) – ロッキング・オンの音楽情報サイト
2011年リリースのアルバム。とても好きです。