Maroon 5の来日公演、日本武道館でのライブに行ってきました。
Maroon 5は1stアルバムの「Songs About Jane」からよく聴いてます。
そのアルバムの「This Love」が象徴的なように、美しいメロディ・歌声にファンクの要素が強く入っているところがとても好き。
僕はベタベタな美メロの曲も好きなんですが、例えばフジロックのフィールド・オブ・ヘブンでファンクなビッグバンドの音に浸るのもとても好きで、それらをミックスしたようなMaroon 5のことが好きなのは道理というか。
彼らのように「歌モノ+ロック+ファンク」が融合されてるバンドってなかなかないと思います。
と思っていたんですが、Maroon 5のライブを今回初めて観てみると、その三要素の他にもスカ、アフリカの民族舞踊のようなメロディ、ヒップホップでよくあるような音などなども混ざっていて、思っていた以上に“ごった煮”なバンドだなあ、と感じました。
で、それらの“ごった煮”感を、ボーカルのアダム・レヴィーン(Adam Levine)の美しくて甘い歌声ですべてまとめ切ってるんですよね。
これはいいわー。
これはライブ直後の僕のツイート。
MAROON 5よかったわー!歌モノ、ロック、ファンク、スカ、アフリカなどなどのごった煮感と、それをまとめ切ってしまうアダムの歌声、全く飽きないバンドだわー。
— いぬたくさん (@inutaku_) 10月 2, 2012
お客さんがすごく入ってた
ステージは日本武道館の北側で、かなりギリギリの端っこまでお客さんは満員。
おー、Maroon 5ってこんなに集客力あるんだ!とちょっと驚きました。
(僕の席も東側のかなりステージの横側でした)
それにしてもMAROON 5はこんなに武道館が埋まるとは思わなかった。普通に仕事してる層が多いと思うんだけど、ほぼ満席。
— いぬたくさん (@inutaku_) 10月 2, 2012
立見席も出てるぐらいだからなー。MAROON 5の日本での支持層っていうのがイマイチ実感を伴わない(わたしに友人が少ないことも関係して)。
— いぬたくさん (@inutaku_) 10月 2, 2012
お客さんは6:4~7:3ぐらいで女性が多かったでしょうか。
かなりまともな社会人っぽい人が多かったです。
オープニングアクト ESP
オープニングアクトは(Maroon 5と同じく)LAに拠点を置いてるバンド、ESP。
僕は「Maroon 5のオープニングアクトにESP決定!」ってメールをもらって初めてこのバンドを知って、何曲かネットで聴いた程度。
オープニングアクトのESPは3曲だけだった。10月に日本デビューらしい。最近特にアメリカを中心にサイケが流行ってるんだなーと思わされる音だったけど嫌いじゃない。
— いぬたくさん (@inutaku_) 10月 2, 2012
まあとにかくサイケデリック。
音楽も、映像も。
サイケってやっぱりここ3~4年、アメリカを中心にリバイバルブームなんですねー。
Animal Collectiveの成功の影響がデカいんでしょうね。
MVにもなんか日本語が使われてるシーンがあると思ったら、メンバーはAskaとSeiyaっていう日本人の双子とBobby Evansっていうドラムの3人なのね。
LA在住なのかよく知らないのだけど、普通に日本語をしゃべってました。
10月に日本デビューらしく、日本でもこれから数年でこういうサイケが流行る(上陸していく)流れなんでしょうか。
そうやって海外のエッセンスを日本のマーケットの中で発揮してちょっと他と違う音楽性を感じるパターンって、DadaDを思い出しました。
(DadaDの二人はそこまで長く海外在住ってわけでもないんでしょうが)
Maroon 5
MAROON 5、序盤はアダムの歌モノ中心で魅力しつつ、中盤から後半にかけてファンク、スカ、アフリカな要素が入る曲を雪崩打つ感じ。そしてアンコールで5曲ぐらいやって、もはやあれはアンコールというより第二部だった。
— いぬたくさん (@inutaku_) 10月 2, 2012
歌モノ中心の序盤~中盤
1曲目の「Payphone」、アダムが「I’m at a payphone trying to call home~」って歌い出したところの盛り上がり、すごかったなー。
歌い出す前、アダムがステージに登場して中腰でマイクを持ったところから会場のテンションが素敵でした。
あの中腰はセクシー。
1曲目のスタートからボーカルがあれだけハイテンションでステージを楽しんでくれると、来日を待ち侘びてた私たちも嬉しいってもんですよねえ。
そこから「Makes Me Wonder」。
これは2nd「It Won’t Be Soon Before Long」に収録されてる、もろにマイケル・ジャクソン的なシングル曲ですが、他のアルバムのシングル曲と比べてちょっと地味な感はしますなあ。
「Lucky Strike」はもっとガシガシダンスミュージックなアレンジにすることも可能そうなところを、ここでもアダムのボーカルが強調されるようなライブアレンジだったような。
「うぉーうぉーうぉー」っていうシャウトも、ジェイムズ(James Valentine)たちバンドメンバーはそこまで目立たない感じなんですね。
次の「Sunday Morning」といい、アダムの歌が炸裂する流れ。
ここらへんで「ああ、序盤は歌モノなんだな」=「中盤からファンクになっていくのね」という予感を受けました。
ファンクを中心に他ジャンルがごった煮になる中盤~終盤
「If I Never See Your Face Again」を挟んで(それにしても「Makes Me Wonder」といい、2ndのこういう曲ってこうして振り返ると分かりやすいんだなあ)、「Wipe Your Eyes」。
この曲の冒頭からの妙な(?)サンプリングがとても好き。
ここらへんから中盤戦に入ってきてる感じ。
次の「Won’t Go Home Without You」はトヨタのVitzのCMに使われてた曲。
Maroon 5の曲の中で、この曲は一番つまらない(凡庸だ)と思うんですよねえ…。
ライブで聴いてもこれだけはあまりピンときませんでした。
まあそれはいいとして。
1stの「Harder to Breathe」から、これまた冒頭のイントロが印象的な「Wake Up Call」。
キーボード・PJモートンのイントロで煽るアダムがすっかりノリノリで楽しい。
次の「One More Night」がライブとしては一番楽しかったというか、見どころ(聴きどころ)満載でした。
ジェイムズがスカのリズムを刻んでヒップホップ要素が強い音(エレクトロ・レゲエ?)も入ったりしていて、そしてそれにアダムの歌声が乗っかっていて。
さらに終盤になると一転してハードロック~グランジになって、アダムとジェイムズのツインギターソロとかあるんですよね。
いやー、一曲の中ですごい展開で、これぞMaroon 5というバンドをよく表してる曲だと思いました。
ジェイムズやアダムがああいうハードロック調なギターを披露しているのを聴くと、「ああ、Maroon 5結成以前はこういう曲が好きな若い頃があったんだな、その趣向は今でも持ち続けてるんだな」などと勝手に温かい目で見たくなります。
アダム・レヴィーンがこんなことを語っているインタビューがありました。
“『オーヴァーエクスポーズド』では初めて、ラジオで流れるポップ・ミュージックを僕たちは作っているんだ、という考えを完全に受け入れている。自分たちらしいものを作ることに恐れを感じるのはやめよう、とみんなで思えたんだ。”
BIOGRAPHY – maroon 5 | マルーン5 – UNIVERSAL MUSIC JAPANより
「One More Night」も音源で聴くとこの日のライブでやったようなハードロック要素はないのですが、だとすると彼らにとってライブの場って貴重なんだろうなあ、と。
逆に言えば、よくそういう趣向を押し込めてまでアルバムは「ポップ・ミュージックを作っているんだから」と割り切ることができるなあ、と思います。
そこからライブはいよいよ終盤的な盛り上がりで、「Hands All Over」ではお客さん全員が手を上げるようにアダムが煽り。
そしてそして、「Misery」から「This Love」への流れ!
Maroon 5の音楽的な多様性はこのライブでつくづく実感したんですが、その中でも大きな柱がロックとファンクだとしたら、この2曲はそれを満たしたまさにMaroon 5を代表する2曲だと思うんですよね。
そして僕がMaroon 5で特に好きな曲でもあります。
特にわたしはMAROON 5のファンクな要素が大好きで、それと歌モノが最高レベルに融合したのが「Misery」と「This Love」だと思ってるんだけど、本編ラストのこの2曲の流れは「いやー、分かってるわー」と思いながら狂喜しましたよ。
— いぬたくさん (@inutaku_) 10月 2, 2012
予想はしていたものの、大満足な本編の〆め方でした。
ただ全体的に、特にファンク要素が強い曲をやる際には、ベースがもっと効いてた方が好きですねえ。
また、ドラムもやや単調で、時にはドラムセットだけじゃなくパーカッションも入れた方がより自分の好みだなあ、とか思ってました。
アンコールが山盛りすぎる
本編がMaroon 5として美しい流れで終わった後、アンコールではカバー曲だったりアコースティックバージョンだったり、大盤振る舞い。
まずはギターのジェイムズとベースのミッキーが登場し、The White Stripesの「Seven Nation Army」のイントロのギターを弾き、それにアダムがドラムとして加わる形。
ドラムを叩きながらあの甘い声で歌うアダムを見て、思わずモーモールルギャバンのゲイリー・ビッチェを思い出してしまいました。
「同じようにドラムを叩きながらメインボーカルやっても、人間ここまで違うもんなんだなあ…」と(どっちも好きです)。
そして次に、ジェイムズがアコギを弾きながら、「Ladies and ladies,」と切り出して「あなたたちのための歌だよ」と言うアダムのMCからの「She Will Be Loved」!
いやはや、もうアダムの歌声が美しすぎて、昇天気味ですよ。
歌モノバンドってところでは去年フジロックで観たColdplayのクリス・マーティンも思い出したんですが、アダムの甘くて時にハイトーンな声の方がわたしは好きだと思いました。
次にやった曲は初めて聴いたのですが、Gym Class Heroesってラップ・ロックバンドの「Stereo Hearts」という曲だそうで。
これもアダムの歌声がたまりませんでした。
そこから、「Daylight」、The Human Leagueのカバーである「Don’t You Want Me」。
アンコールが長いです。
もはやスペシャル版と言っても過言ではないゴージャスさ。
アンコールのラストは、大ヒットしたシングルでもある「Moves Like Jagger」。
これもイントロを何度もかけては焦らしまくるアダムさん。
その度に、会場、大盛り上がり。
こうして見ると、代表曲・シングル曲をほとんどやってくれてますね。
ところで今年出たアルバム「Overexposed」から「Fortune Teller」や「Love Somebody」をやらなかったのは意外でした。
ノリもいいし、アダムの高音がライブで映えそうな曲だし、やるかと思ってました。
そういう意味で今回のツアーは、ポップに寄りすぎず、これまでのMaroon 5テイストが多めにしてくれているのかもしれないですね。
僕としてはその方が好みです。
僕はここ数年間で邦楽バンドの武道館公演に行くことの方が多かったんですが、この日の帰り道は久しぶりに武道館から出るのに時間がかかりました。
「邦楽バンドの武道館ってお客さんそこまで入ってないんだな…」と実感すると同時に、Maroon 5の心地良い余韻に包まれていましたとさ。
Maroon 5 2012.10.2 日本武道館 セットリスト
※たぶん合ってるとおもうのですが、間違ってたら指摘してください。
直前のペルー公演と同じかと思います。
Maroon 5 Concert Setlist at Estadio Monumental, Lima on August 28, 2012 | setlist.fm
1.Payphone
2.Makes Me Wonder
3.Lucky Strike
4.Sunday Morning
5.If I Never See Your Face Again
6.Wipe Your Eyes
7.Won’t Go Home Without You
8.Harder to Breathe
9.Wake Up Call
10.One More Night
11.Hands All Over
12.Misery
13.This Love
Encore:
14.Seven Nation Army (The White Stripesカバー)
15.She Will Be Loved (Acoustic)
16.Stereo Hearts (Gym Class Heroesカバー)
17.Daylight
18.Don’t You Want Me (The Human Leagueカバー)
19.Moves Like Jagger