どちらかと言うと人から相談を受けることが多いのだけれど、一番困る質問のうちの一つである。
「やりたいことが見つからないんだけど、どうすればいいでしょうか?(どうすれば見つかりますか?)」
自分自身の経験上、そして他の人を見てきた(さほど多くない)経験から正直に言うと、
「本当にやりたいことがある人は、やりたいことを探す努力はしていない」
ある一定以上の熱量を持った人って、興味の持ち方が違うし、そこに向かっていくパワーも強い。
そしてそれは誰から学ぶというわけでもなく、生まれ持って(もしくは幼少期に?)身についているような印象を受ける。
なので、やりたいことが見つからなくて悩んでいる人は、これから先もやりたいことが見つからない可能性は一定確率であると言わざるを得ない気はする。
もちろん、相談を受ける身としてはやりたいことが見つかるように願っているし、いろんなものに触れて「あ、これならわたし興味持てそう」というものが見つかることも十分あり得るので、そのきっかけづくりや提案はできる範囲内でしたいと思っているんだけれども。
ただ、僕がどっちかと言うと根深い問題なんじゃないかと思うのは、「やりたいことが見つからないことに悩むこと」のほう。
なぜかと言えば、そこには「(主に将来的に)やりたいことがなければ、自然とやりたくないことをやらざるを得なくなる」ということへの漠とした不安があるから。
逆に言えば、「やりたいことがあるのなら、それをする時間は幸せでいられる」という担保を期待している、とも言えるかもしれない。
けどですよ、そこから疑っておいた方がいいと思うんです。
つまり、「やりたくないことをやらなきゃいけないことは多いですよ」と。
むしろ「やりたくないことをやらなきゃいけないことが圧倒的に多いかもですよ」と。
それでも、こう考えるかもしれない。
「たとえやりたくない仕事に就いたとしても、熱中できる趣味(やりたいこと)や夢中になれる恋人がいれば、イヤなことを忘れられるのでは」と。
でも、世の中は世知辛いもので、「やりたくないこと」というのは、「やりたいこと」に懸ける熱意や時間までも奪ってしまうのだ。
一気にというわけではなく、徐々に徐々にだけれども。
(Radioheadは「job that slowly kills you」と歌ってるよね)
大事にしたい恋人ができたとしても、仕事で疲弊した人はその恋人への優しさも奪われてしまうかもしれない。
ここで例えば逆に、睡眠時間を極限まで削っても趣味に没頭できるような人は、もともと「やりたいことが見つからない」ことに悩んでなかったタイプなんじゃないだろうか。
そんなことを思うのが本音。
なので、「やりたいことが見つからない」という人に対して僕が本当に親身になった助言をするとすれば、こんな感じだろうと思う。
「人生、やりたくないことをやることの方が多い」という認識をデフォルトにしておいた方がいいかもしれないですよ、と。
そうしたら、「やりたいことが見つからない」という焦りやストレスは減るんじゃないだろうか。