10-FEETのTAKUMAがダイブやモッシュについて、さらには自身のベスト盤への憤りについて、一人のアーティストとして真剣に向き合ったエントリを書いてました。
それがものすごく真摯な内容だったんですが、残念ながらウェブサイトの仕様上、個別URLが存在しないので、放っておくとそのまま埋もれてしまいます。
なので、このエントリで「引用・編集・まとめ」という体裁にしつつ、TAKUMAの主旨を残しておきたいと思います。
元URLはこちら。10-FEET DIARY(「いろいろ日記」を参照)

TAKUMAの文章は、ここから始まります。

先日多くのバンド仲間達と最近のライヴシーンについてたくさんたくさん語り合った。ダイヴやモッシュ、肩車等とその規制やルール、オーディエンスの在り方と僕ら演者側の在り方について

このエントリでのテーマは、ダイブ・モッシュ・肩車というライブ会場でよく目にする行為と、その規制・ルールについて、さらにはオーディエンスとアーティスト側の関係について、ということ。

ライヴ会場でのルールは基本的に怪我であったり会場の都合、風営法、消防法などの条例、そしてライヴハウス各店舗が持つ制限と方針の他、イベンターや主催者の方針もある、僕達に権利が無かったり、責任が取れない範囲外の行為や問題に関しては禁止等の制限を受ける事が最低限のルールである事、それは今までもこれからも変わらない

まずはライブ会場(ライブハウス)での規則・ルールがどういう仕組みになっているのかを例示。

とはいえ、ということで、TAKUMA個人の気持ちも。

ただ僕達はダイヴやモッシュの文化の中で育ってきたしそこには自分がずっとずっと使ってきたギターに抱いている様な愛着もあるし歴史も感じている。色んな問題は尽きないがその文化自体が無くなったら寂しい。

これはTAKUMAが元は“いち音楽ファン”“ライブに通う一人の若者”だったことも含めての思いでしょう。

ほなどうしたらいいか?もの凄く前向きな熱い話し合いをいろんなバンドマンとしてきて思った事、環境をより良くしていくには熱意や願いが不可欠だという事。たまにある上げ足を取るだけの発言なんかは簡単に他の悪意を扇動できるからそういう類いのモノが少しでも混ざればこういった話し合いはいつも簡単に崩壊する。

そして議論に入る。
ただ、揚げ足取りの危険性も指摘。そしてそうした意見におそらくTAKUMAが心を引きずられた経験も多いのだろう、ということも推測できます。

大勢の人間が集まったら人は基本的に人の落ち度やスキャンダルに心が引っ張られるという事をもっともっとたくさんの人が理解しなくちゃいけない。その上での肯定と否定、意見や理解が必要だ。 事の大小に関わらず世論というのはそれぐらいデリケートなんだ。僕達が居る環境も例外じゃ無い。

「ポジティブな意見を出し合うことの重要性」「本質の向上を求めること」に関しての言及はしばらく続きます。ここでは割愛しますが、TAKUMAが経てきた(体験してきた)議論の困難さを物語っているような気がします。

そして、話は本題へ。

ライヴをより楽しみ、みんなにとって大切な場所であるライヴハウスとそのシーンを向上させていくにはどうしたらいいか?ダイヴやモッシュは一体どうしていったらいいのか?

TAKUMA(とその仲間たち)が捉えているダイブの本質は、以下のようにまとめられています。

まずたくさんのバンド仲間と話した中で共通の意見はみんな「怪我はして欲しくないがダイヴが無くなると寂しい」とい う思いが基本でほとんどだが、もともと僕達が思っていた本当の「ダイヴ」というのは「久しぶりに興奮し過ぎて本当に我慢が出来なくなってダイヴしてしまった」とか「わけがわからなくなって気がついたらダイヴしてた」とかだと思う。決して遊園地の乗り物みたいに「あれに乗りたいなぁ」みたいなものじゃ無いと思うんだ。

この「どうしても我慢が出来なくなって感」が大事なのだ、と。個人的にもそこはすごく同意。
そしてそれを大前提とした上で、次はダイブのリスクについての言及。

少なくとも人の上に乗って足や手は下に居る人の顔や身体に当たる、そりゃあ下手したら怪我にも繋がるかもしれない、そのリスクを犯してまで飛ぶ ほど「すみません!僕本当に我慢できません!下の人ごめん!うおおおお!」とかでないと違うと思う。そしてなるべく周りみんなが怪我しない様に足や手を無 駄に振り回さず、怪我の元となるアクセサリーなんかは絶対外す。ちょっと盛り上げたいだけでダイヴしたりはただ単に怪我の元だし、熱い場所で熱くなりたくて集ってんだから何に対しても熱さと重さはないといけないと思う。

そしてライブでのルールの捉え方と、その成り立ちについて。

「俺ら全員で責任取るから遊ばしてくれや!」という様な気持ちで場所にもルールにもスペー スを貰って遊んでいるんだ。

ライブ会場にいるいろんな人と、その人たちをなるべく結びつけるルールの話。

知らないお客さん同士が仲良くなってより盛り上がったり、そういう関係が苦手で静かにライヴを観たい人が居て同じライヴハウスの中で共存していたり、困っている人を助けたり、セキュリティーの人が常にみんなの安全に気を配っていたり、全ては別にやらなくても法律違反でも何でもないしルール違反でも無い、ただオーディエンスを含めたライヴに携わる全ての人達がそれぞれ「その方が楽しいから」「その方が感動出来るから」「その方が良くなるから」と思って少しずつ変化し、発展して来た結果なんだ。だから全ては皆の願いと敬意の上に成 り立ってるんだよな。

そして、その上で周りにいる人への「敬意」(思いやりと言ってもいいのかもしれません)の重要性を指摘。

だからその場所を貸しくれた人や一緒に遊ぶ相手に対しての尊敬の意は多少なりともあった方がいい。と僕は思う。その上でのやんちゃだ。

また、TAKUMAの経験談も。そしてTAKUMAが思う、在ってほしいダイブのあり方。

昔関西地方でダイヴで有名な先輩(本当に有名だったんだぜ!)が居て「あの人が飛んだらそのバンドは認められたって事だ。そしてあの人はちょっとやそっとライヴが良くても絶対飛ばねえよ」と聞き、当時のバンド仲間はみーんな「今日来てるらしいぞ!絶っっっ対飛んで欲しいなぁ!めっちゃ頑張ろうぜ!」なんて唾飛ばして言ってたのを覚えています。でもそれがオーディエンスと演者の関係として本来一番自然な在り方なんじゃないだろうか?だからライヴハウスに向かってる時に「今日俺ダイブするんだぁ」ていうのは僕達が思ってるダイヴとはちょっと違う気がする。

ダイブのほか、モッシュや肩車(かぶり物)に関しても。

モッシュだってそうだ。そう思うと僕は肩車とかかぶり物は少ぉ~しだけ微妙です。あれは逆に冷静じゃないと出来ないんじゃないかなぁとも思ってしまう。

ただ、理解はしようとしていますし、フォローも入れています。

自分達が命を燃やして歌って叫んでもそこに居る人が目立ってたんじゃライヴがなんなのかよく解らないなと思った時もありました。が、ただそれをやっている人達も「盛り上げよう!」とか「みんなで楽しいもう!」そんな気持ちでもやってくれているのは嬉しいし解るんです。

ダイブ・モッシュ・肩車について一通り意見を述べた後で、まとめ。
そこにはとてもオープンなTAKUMAの姿勢が見られます。

僕達10-FEETは今まで通り変わらず在り続けたいと思っているんです。良い所は残し、伸ばし、悪い所はこれから先またバンド仲間達ともたくさん思いを交わし、意見を交わし、メンバーやスタッフはもちろんお客さんやいろんな人と心を交わして、より良いシーンとライヴの環境を作っていきたいと思ってます。

そして10-FEETのベスト盤についても言及(先日、宇多田ヒカルも同様のことを言ってましたね)。

あと10-FEETのBEST、あんなの不要です。生涯出さへん予定やったし出さない方向で長年話し合ってきましたが日本は「書類、署名、捺印社会」みたいで、「出す」という書面も無ければ「出さない」という書面も無い、するとどんなにそれまでの話し合いがあっても強い方が勝ちます。

TAKUMAの悔しさが滲み出ているような文章です。
長年知っているスタッフ・レコード会社だけに、より一層でしょう。

レコード会社やそのスタッフは家族みたいに仲が良いし何年も何年も一緒にやって来てるさかいみんな好きや。でもその「100万枚ぐらい売れないとやっている意味が無い」という極端なメッセージを感じてからは僕達にはちょっと理解できないんだな。そもそも最初は「ライヴ中心にいろいろ考えてリリースしていきましょう」なんて何年も前から話し合ってきた事やけど「会社」は難しいです。むこうも社員を食べさせていかなきゃならないのでしょ う。

悔しさを感じながらも、レコード会社への「理解」も示しています。
ただ、TAKUMAの視線はファンの方を向き、ファンを大切にし、その上で自分たちのこだわりも書いています。

でもこちとらファンや色んな仲間達に支えられて今がある。それらをガッカリさせる様なモノはハッキリ言って要らん。そういうゴリ押しがある事は是非と も最初に言って頂きたかった。まぁBESTはどこのレコード会社でも最終的にはほとんどの場合出されちゃうみたいですけどね。正直メンバーは全員深く落ち込んだし、そこにはこだわりを持ってきたからなぁ。新しいアルバムより費用がかからないBEST、、、なんだそりゃ。。

と書きながら、最後はポジティブに。

結論として今この後予定しているライヴ一本一本をめっちゃくちゃのボッコッボッコにすげえライヴにする。ただただ黙って目の前にあるやるべき事をやる。それは今日も明日も変わらん。いろんな問題や不満もあるが黙ってやるべき事をやるだけや。限られた環境、限られた時間の中、命を燃やし、時をかき分け、やるべき事をやるんだ。ああ、、早くライヴがしたい。今すぐしたい、、燃えたい。。

以上でまとめ終わりです。

自分でまとめながら「10-FEET信者か、自分は」と思えてきましたが(笑)、特に信者というわけではありません(いや、普通に大好きではありますよ)。
ただ、TAKUMAであれ誰であれ、「音楽・ライブを心から愛する一人のアーティストが、自分の言葉でダイブなどライブの“ルール”について真摯に語った」ということが大事だと思い、まとめ・保存しようと思いました。
(あと、ベスト盤についても、ですね)

なるべく多くの方に読んでいただければ、と思いつつ…。

ちなみに、僕自身はダイブはしない派です。ライブ自体はめっちゃ楽しみますが、TAKUMA風に言えば「うおおお、抑えきれねえ、飛び込む!」というメンタリティにはならないんですよね(それは性格的に、かも)。
「あ、だから自分はダイブしないのか」とTAKUMAの言葉で気づかされた点でもあります。
でももちろんダイブに否定派ではないですし、本当に盛り上がって心から飛ぶダイブが連発してる光景は好きです。

10-FEET DIARY(「いろいろ日記」を参照)