Coccoの主演舞台「ジルゼの事情」を観に行った感想を書いておきます。

観たのは2014年1月21日(火)だったんだけど、だいぶ時間が空いちゃった。

OFFICE SHIKA × Cocco 「ジルゼの事情」特設サイト

役者も悪くないけどやっぱりCoccoは歌い手だ

役者としてのCoccoの芝居を観るのは、映画「KOTOKO」以来。

今回は舞台というこことで、とても近い距離で生のCoocoの演技を観られました。

役者としてのCoccoも、とても魅力的だとは思います。

特に今回の「ジルゼの事情」では、自身の素のキャラもアドリブ的に(?)発揮できたりする役柄で、Coccoという人間自身の魅力も出てました。

ただですね、やっぱりCoccoは歌手として飛び抜けた人で、その歌手としての魅力の前では役者としてのCoccoはすごく霞んじゃうんですよね。

それを如実に感じたのが、この舞台の後半でCoccoがソロで(本気で)歌うシーン。

やっぱりCoccoの歌声や歌っているCocco自身って、もう特別で、それだけで有無を言わさずその世界に引きこまれてしまうんです。

で、僕にとっては結局、2時間この「ジルゼの事情」っていう舞台を観たことよりも、あそこの5分間のCoccoのソロ歌の方がずっと心に刺さったし、心に残ったんですよね。

そういうことなんだと思います。

脚本と展開にちょっとついていけなかった

Coccoとは別に、舞台の内容に関しては、後半からちょっとついていけなかったです。

僕は舞台に比べれば映画(など、テレビを含む映像作品)の方がずっと多く観ていて、その感覚の違いなのかもしれないんですが、目の前で生身の人間が演じる「舞台」っていう仕組みの中で、あんまり突拍子もない展開と世界観にはついていけないんですよねえ。

具体的には、後半からCoccoたちが通っていた渋谷の喫茶店という舞台はそのままに、その喫茶店が深夜だけ死者たちの集会場みたいになって、そこでは現世では発揮できなかったその人の本当の性格・キャラが表れるんですが、そのザッツ・アンダーグラウンドな設定と脚本に乗り切れなかったですね…。

これが映像だと、その強引なまでの急展開を、もうちょっと様々な演出的な要素で補えるんじゃないかな(自分はそっちならまだ受け止められたかもな)と思って観てました。

あとは、その展開にすごく下北沢臭がするというか、Coccoが主演になるぐらいある程度商業的な側面も出る舞台でも、そういう“演劇的なサブカル感”って2010年代でもまだまだあるんだな…とか思いました。

というわけで、作品としてはそんなにハマらなかったというか、上で述べたように、結局はCoccoの本気の歌を聴けたことが一番嬉しかったし、心に残った舞台でした。