ROCK IN JAPAN FES 2011、いよいよ最終日となる3日目。
こんな感じで回りました。
実線がフルで観たアーティスト、点線が一部を観たアーティスト。
■心に残ったアクト
ACIDMAN
KREVA
BRAHMAN
毛皮のマリーズ
この日はグラスで名のあるアーティストを観ることがやけに多い日。
一発目はシーサイドでアルカラを少し観る。
ライブは初見。
インドアな文系っぽい変化球なバンドという勝手なイメージを抱いてたんだけど、ライブをしっかりやるバンドなんだなあ、と。
そこから、ストレイテナーに間に合うように移動。
●ストレイテナー @グラスステージ
バンドとして“深化”してるのはよく分かる。
なんだけど、それが僕の好みかというとちょっと違うなあ。
もうちょっとストレートに「Melodic Storm」とかやってた頃の方が好き。
そう感じる理由を考えると、けっこうハッキリと二点あって、一つはひなっちのゴリゴリしたベースがストレイテナーだとちょっと自己主張強すぎと感じてしまうこと。
もう一つは、ほんと申し訳ないんだけど大山純からどうも“正統派ロックバンドのギタリスト”としてのスケール・雰囲気を感じないこと(音じゃなくてもう見た目の話です)。
特に「SIX DAY WONDER」は僕が一番好きな曲なんだけど、近年のライブアレンジはひなっちがゴリゴリやり過ぎていて、「わかった、もうお腹いっぱい…」状態になってしまう。
この頃テナーのライブでゴリゴリすぎる「SIX DAY WONDER」を聴いていつも想起して対比させてしまうのが、(ちょうど次の)ACIDMAN。
ミドルテンポの曲のサトマのベースはすごく好きなんです(実際にそれをどこまでサトマが・どこまで大木さんが作ってるのかは知らないけれど)。
そういう意味でACIDMAN(大木さん)が「ストレイテナーの中で一番好き」と言ってコラボした去年のJapan Jamでの「SIX DAY WONDER」がそれはもう素晴らしいアレンジだったのも道理だな、と思うわけです。
というのが、僕の個人的な嗜好。
↓バンドの好みって難しい。
●ACIDMAN @グラスステージ
大好きなACIDMAN。
「world symphony」から始まって「River」もやったのがちょっと意外で、だけど嬉しかった。
ACIDMANの素敵なところは、曲をいったん自分たちのものにしてから、さらに再構築してライブで見せてくれるところだよねえ、と改めて。
「FREE STAR」のイントロのアレンジもご多分にもれず好きだった。
これ、ライブ直後に発したツイート。
1分1秒で世界を変えることができる、音楽は少しずつでも世界を変えることができる、と本気で信じて疑わない人は美しい。
ところで、ACIDMANがトリを務めるロックインジャパンはまだですか。
そこからレイク方面に移動して、FACTが流れるところへ。
「a fact of life」を初っ端にぶっ放せる最近のセットリストは、そりゃ盛り上がるよねえ。
そのままウィングテントへねごとを観に行くも、すごい人。
まだ始まってなかったので中には入れたけど、すごい人すぎて聴きながら揺れ動くスペースもあったもんじゃないので、そそくさと退散。
入場規制中のウィングテントは、たとえ入れたとしても満足に踊れるスペースなどない、という教訓。
●KREVA @グラスステージ
芝生に座りながら観てた。
KREVAはワンマンに行くことこそないものの、フェスで観る彼がすごく好き。
好きな曲ももちろんあるんだけど、それ以上に彼の人柄・ライブに対する姿勢が大好きなのですよ。
KREVAが「みんなからは分からないかもしれないけど、今年はいつも以上に後ろの方まで俺のライブに協力的」ってちょっと笑いながら言ってたけど、それは毎年KREVAがこのステージで人の心に伝わるライブを積み重ねてきたことの証だと思う。
もはやお約束的なゲストと「イツナロウバ」もやってくれて、ああ夏だなあ、と。
KREVAの曲って切なさを隠そうとしていないところがいいのかもねえ。
↓この曲もすごく夏。
DJブースでのダイノジを観に行ってみたけど、人が多すぎてすぐ退散。
ダイノジに限らず、なんだかこのDJブースでの“人気者”の感じにはついていけないなあ。
CDJみたいに座席があって、なんか食べながらふーんって見たり聞いたりしてる分にはいいんだけれども。
●吉井和哉 @グラスステージ
今年はワンマンにも行ったものの、僕はフェスで観る吉井さんの方が好きだなと気づいた。
どのアーティストでもそうかもしれないけれど、フェスでの方がやっぱりオープンなんだよね。
で、吉井さん自身がすごく大きくて、広くて、深い人だから、フェスのこういうデカいステージがとてもよく似合う。
(それって90年代のテレビにガンガン出ていたこととも無関係ではないと思う)
吉井さん、「(若くないから)自分はもうこういうフェスに出ちゃダメかなと思ってたけど…」とか言ってたけど、ずっとずっと出てほしいわ。
そして一緒に年を重ねていきたい。
この日のステージは中盤の「球根」からラストの「Flower」という(震災とも関連した)流れもあって、吉井さんの心根も伝わるものでした。
ところで誰かがリハ中に「生形さんが!」ってツイートしてたから僕はなんとなく知っていたんだけれど、吉井さんが「新しいギターを紹介します」と言ったときの盛り上がりは明らかにエマ感があったよね…。
僕は生形さんも大好きだからいいのだけど、吉井さんのファン層全体からすると「誰…?」という方も多かった印象。
冬からのツアーに生形さんが参加するらしく、その化学反応はちょっと楽しみ。
(しかし生形さんもどんどん“王道”を歩んでいくねえ)
↓かっこよい(この日はやってない「ビルマニア」)
いやはや、ついに来てしまったよー。
この3日間で最も悩ましかった、大トリをBRAHMANにするか、毛皮のマリーズにするか。
結局、BRAHMANのオープニングSE「Molih Ta,Majcho I Molih」がグラスに流れる(二度目の)瞬間を観たくてBRAHMANを苦渋ながらに選択。
それほど2008年にグラスで観たBRAHMANが鮮やかな記憶すぎた。
ライブハウスで観られる機会もあるけど、このグラスでまた観たかったんだ。
●BRAHMAN @グラスステージ
いや、もうね、このオープニングSEは反則なんですよ。
BRAHMANが出てくる、そしてあのSEが流れる、というだけで、この心の昂り。
↓この曲。ライブで実際に流れる音源とは少し違うけど雰囲気は伝わるかと。
そして現れたTOSHI-LOWのMC。
それを記した僕のツイート。
TOSHI-LOWのオープニングMC、言葉に胸を鷲掴みにされるというのはあのこと。あれを生で観た人はあまりの凄さに人に伝えたくなるのも分かるけれど、あのオーラ・ニュアンス・凄みをTwitterで伝えるのは無理だと思う。せめて映像なら少しは伝わるかも…と思う。
というわけで、TOSHI-LOWのオープニングMCはちゃんと伝えられる自信がないから書けない。でも本当に凄かった。
観た直後も「これを文字で伝えるのは無理だ…」と思ったのでここでも書かないけれども、メッセージの内容よりも「これだけ言葉の一つ一つで心をえぐられるような音楽アーティストってなかなかいないよ…!」ということを強く感じた。
で、いよいよ本気になってライブが始まってからは、とにかく引き込まれる。
いや、むしろ体ごと鷲掴みにされた、という形容がふさわしい。
音自体に、そしてBRAHMANというバンドの熱そのものに。
最初は「途中でマリーズを観に行くかもしれないし…」と甘っちょろいことを考えて少し後ろ気味にいたんだけど、始まってすぐに前方にかっ飛んで行ってしまった。
これほど何も考えずに体がステージ近くに行く、っていう体験も滅多にない(僕の場合)。
一曲ごとにもう全力ですよ、全力。
BRAHMANももちろん全力だけど、僕も全力だったよ。
それが最高潮に達したのが「BASIS」で、いやもうすごいことになっていた。
筆舌し難い。
少しだけ客観的なレポート。
僕はモッシュエリアの柵あたりにいたんだけど、そこまで近くてもなおBRAHMANファンではないような人もいた。
2008年の時も感じたけれど、BRAHMANというロッキンにはある意味“異質なもの”を目の前にした戸惑いのようなものは、今回も少し感じた。
まあともかく「BASIS」で極限まで力を出し切ってしまった。
と同時にものすごく感無量になった(でも、泣けるとかそういう類のものではないやつ)ので、ありがとうと思いつつマリーズに向かった。
途中、グラスを出て観覧車のあたりで「ARRIVAL TIME」が流れてきたので、マリーズが終わってしまうんじゃないかと恐れつつもそこで立ち止まってまた聴き入ってしまった。
これもすごくよく聴いた曲なんだよなー。
BRAHMANのライブで受ける、感動とも切なさとも悲しみとも違う、膨大な熱量の塊って何なんだろうか。
こういう感じを受けるアーティストって他にいないんだよなあ。
少し落ち着いてpostしたツイート。
BRAHMAN、これまでの3日間の全てのアクトが吹っ飛びそうなぐらい凄かった。圧倒的、という言葉しか出てこない。
↓2008年のロッキンに出た時。「Answer For…」という曲。
●毛皮のマリーズ @サウンドオブフォレスト
この1年、マリーズのライブは何度も観たし、もちろん12月の武道館も行く。
けど、どれだけたくさん観ても「ロッキンのトリを(初めて)務めるマリーズ」もどうしても観たかったんです。
それぐらい好き。
フォレストに近づくと、「ビューティフル」が聞こえてきた。
そしてステージが見えるところまで着いたときは、志麿くんがロックの歴史を振り返る一人カラオケ大会の真っ最中。
脱線しまくりの展開に「そろそろ大人の視線が怖い」と漏らすあたりがかわいい。
そこから聴けたのはアンコールも含めて数曲。
だけれど、とても嬉しかった。
いつもはロックスターへの道を駆け上がろうとしているちょっと野心的な志麿くんが、今日ばかりは大トリという場を心から楽しんでいる子どものようだったことが。
志麿遼平ってほんと素敵な人だよ。
そして脱線して押しまくったおかげで(?)、アンコールの時にはグラスの花火が打ち上がる中で歌うという奇跡的な展開に。
(BRAHMANはほぼノンストップに17曲やって、アンコールなしで終わったらしい)
途中、花火を見上げていた志麿くん。
その光景を忘れないでいてくれたら、この場で一緒に見ている僕も嬉しいなーと思っていた。
「そして俺たちは楽チンに、来年もここで会いましょう!あ、ここじゃないです。もっと大きいとこです」と言っていた志麿くん。
ああ、もっと大きいところに行ってくれ!と応援しつつ、2011年の、今のこのマリーズをフォレストの大トリというステージで観られたことをすごく嬉しく思いますよ。
↓揺るぎなく名曲。
最後、僕にしては珍しく2ステージをハシゴしてしまったけど、全く悔いはなくどちらも観られて本当によかった。
今年もありがとうござました、ロックインジャパン。
いろんなフェスに行くわたしですが、それだけにこのロッキンを特別に感じているアーティストの気持ちがステージから伝わってくることが多いし、「来年はあっちでやりたい!」と話すアーティストの多さからも、すごくいいフェスになってきているんだなあと実感する。
アーティストにとっても、ファンにとっても。
月並みですが、全てのアーティスト、スタッフ・関係者、お客さんに心から感謝したいと思います。
「心から感謝したい」と思えるフェスがあることは、幸せなことです。