ロックインジャパンフェス最終日、いよいよレポートを書くのもこれが最後になってしまいました。
1日目、2日目はこちらからどうぞ。
ロックインジャパンフェス 1日目「やっぱりこれは素敵な宗教」
ロックインジャパンフェス 2日目&ダイブのこと

一発目は、グラスの矢沢永吉
2006年のロッキンに出演した時、観てないんだよなあ。
(後ですごい賞賛の声を見聞きして、観ればよかったと後悔)

今年は満を持して、初の生・永ちゃん。

いやー、かっこいいなー。
本当にロッケンロール・スター!

一挙手一投足がいちいちかっこいい(そしてたまにお茶目)って、どういうこと。
このすごさは生で観るべきだと、ようやく自分で実感できた。
(CMなんかよりも、ライブだ!)

前説で渋谷陽一さんが
「みんなに永ちゃんを見てほしかった。
 それと、永ちゃんにもこんなに素晴らしいオーディエンスを見てほしかった」
と言っていた。

MCによれば、永ちゃんも今回は「渋谷さん、出させて」と言ってくれたようだし、
そういうアーティストとオーディエンスの特別な関係って、いいよなあ。
それもまたこのフェスならでは、だと思う。

そう、改めてだけど、本当にロッキンはオーディエンスが素晴らしい。
フジやライジングサンやその他のフェスなど、僕もいろいろ行くけれども、
ロッキンのオーディエンスが一番好きだ。
(だからロッキンには毎年通うのだけれども)

「純粋に音楽が好き」っていうだけなら、
もしかしたらフジの客の方が音楽好きは多いかもしれない。
(そんなものを計ることはできないけれども)

けれど、ロッキンの客には、アーティストに向き合って、
その音楽や言葉や人間性をまるごと受け止めようとしている客がとても多いと思う。
そこの“純度”がすごく高いなー、といつも思う。
僕もフェスではそういう客でありたいと思うし、そういう楽しみ方をしたい。

永ちゃんも、もしロッキンのオーディエンスのそういう部分を感じ取ってくれたのなら、
ロッキン好きとしてこんなに嬉しいことはない。

次はレイクで曽我部恵一BAND

曽我部恵一さんはもともと大好きで、
「White Tipi」とか出してた頃のレイクの大トリ(2003年)は素晴らしかった。
ただ、最近の「ハピネス!」などになってくると、
「ちょっとこれは勢いに任せすぎなんじゃ?」ていう印象も抱いていた。

で、今回はどういうライブになるんだろうと思っていたら、
予想以上にしっかり演奏&歌ってくれて、めっちゃくちゃステキであった!
(もっとヘロヘロ・ヨレヨレになるかと思った)

それにしても、永ちゃんの引き締まった体を見た直後に曽我部さんを見ると、
ビール腹がどんどん成長していくのにちょっと笑える。

セットリストは、アルバム「ハピネス!」から「ハピネス!」と「永い夜」をやったぐらいで、
あとはもはや“偉大なるマンネリ”と言っていいような、お馴染みの曲。
でも、何回も聴いたはずの曲が、
曽我部さんのハートや熱さによって、また新鮮に心に入ってくるものだから不思議。

それはきっと、曽我部さんがまだまだ毎日を必死にもがきながら生きてるからなんだろうなあ。

だって未だに、最新の曲で「しあわせになりたい」と大声で叫んでいるのだから。
だって未だに、「テレフォン・ラブ」の舞台設定はフリーターの午前3時なのだから。

あのビール腹も、
曽我部さんが「しあわせになりたい」と叫びながら音楽と一緒に毎日を生きている証、
と捉えれば、とても美しいものに見えるのだ。

いやー、曽我部恵一BAND、よかった。

ちなみに客は少なかったが、それだけ純度の高いお客さんでもあって、
それはそれで気持ちいい。
うーん、集客っていう意味での人気も、もっとあっていいんだけどなー。
(来年あたり、フォレスト行きにならないだろうか…)

次は、フォレストの安藤裕子→グラスのSuperfly
あえて並べてみたのは、二人のコントラストが面白いから。

乱暴に分ければ、「安藤裕子=映画的、映画向き」、「Superfly=テレビ的、テレビ向き」。

実際、僕の大好きなねえやんの曲「海原の月」は映画「自虐の詩」の主題歌で、
一方、Superflyはもう2曲もテレビドラマ主題歌になっている。

歌と自身のキャラクターが、かなり180度に近いぐらい異なっていて面白い。
ちなみに、どちらが好きかと言えば、僕は安藤裕子の方が好き。
(もちろんSuperflyも嫌いではない)

安藤裕子は、聞いていた通り面白い人だった。
けど、こういう“一般社会ではなかなかやっていけなさそうな人”だから、
人の心を打つ詞や歌声を持ってるんだろうなー。

対してSuperfly、グラスが予想以上に埋まっていたのに驚いた。
やはりテレビ効果、恐るべし。

本人も言っていたけれど、こんな大観衆を前に歌うのが初めてなのに、
ステージでの立ち振る舞いが堂々としていて、大したものだなーと素直に思った。
肝心の歌声も、グラスという広いステージに十分届くぐらいの力があるし、
これまた予想以上に良いライブ。

まあただ、謙虚なのも好感は持てるんだけれども、
オーディエンスに「楽しんでいってください」と言っている段階からもう一つ超えて、
「一緒に楽しみましょう!」or「私が楽しませてやるから!」になると、もっといいんだろうなー。
そこは経験を積んでからの彼女に期待。

次はまたレイク戻って、AA=

MAD CAPSULE MARKETS、そして上田剛士さんが好きな自分としては要チェックなんだけれど、
意外と客が少ない…。
レイクのフロアが埋まり切ってないからなあ。
うーん、MAD世代がちょっと古くなってるのか、
あるいはMADってどっちかというとフジロック系なのか。

2003年にフジのホワイトステージで観たMADはすごい盛り上がりだったんだけど、
いくらユニットが違うとはいえ、もっとフォロワーがいるかと思ったんだけどなー。

やっぱりロッキンでは、dustboxやGOOD 4 NOTHINGとかの方が人気なんだろう。
僕は彼らも好きだけれども、一世代前のMAD好きとしては、若干寂しくもある。

そんなところも含めて、意外と普通に終わってしまった感じ。
音はMAD時代とほぼ変わらない上田さんスタイルなだけに、もっとできると信じてる。

そこから荷物整理をしていたら、フォレストからPUFFYの歌声が聞こえてた。
「アジアの純真」がOLのカラオケかっていうぐらい音痴で、苦笑い。去年のレイクではそんなに音痴と感じなかったんだけど、最近ライブやってないのかな。

グループ魂へのすごい人の波を避けつつ、ウィングテントのPeople In The Boxへ。

家で聴く限りもっとバンプのようなバンドかと思ってたら、
意外と轟音系な部分もあったりして、ちょっと驚く。

そこを途中で抜けつつ、フォレストのthe telephones

轟音ピコピコダンシング系の雄、ですね。あれは。
まさに踊らにゃ損損、状態。

個人的には、ここらへんが好んで聞くギリギリのラインかなあ。
POLYSICSはあまり聴かないけど、telephonesは聴く。
けど、telephonesよりもDOPING PANDAの方が好き。
という感じ。
(この日、POLYSICS→telephones組が多いのは必然)

ここらへんに属するアーティストの勝手な分布図としては、
轟音ピコピコ← POLISICS  the telephones  DOPING PANDA →ロック
なイメージです。

さて、今年のロッキンもあと二組。

大トリ前はKREVA、フジファブリック、YOUR SONG IS GOOD、BIGMAMAと悩んだ中で、
フジファブリックを選択。

KREVAのステージはいつも素晴らしいし、僕はあの人の人間性も大好きなんだけれども、
去年のロッキン(KICK THE CAN CREW)とその後も何度かお会いできていたので、
今回はフジファブリックで。

なにより、最近のフジファブリックのアルバムがほんとにいい!
「TEENAGER」「CHRONICLE」で、さらに好きになりました。

で、ライブなのだけれども、
演奏はいいものの志村さんの歌がちょっと…。
最低限、CDに収録した歌声は上回ってほしい。

特に「虹」とかはしっかり歌ってほしいなー。
(めっちゃ名曲なだけに!)

フジファブリックは2005年のレイクで初めて観て、
2006年のレイクで「おーっ、これは成長したなー!」と感じて以来の生観賞。
(07年はCocco、08年はBRAHMANとかぶってて未見)

で、期待してたんだけど、志村さんの歌声に関してはあまり進歩がない様子…。
CDではめっちゃいいんだけどなー。

まあともかく、次が今年のロッキンの個人的大トリ、the HIATUS

「Trash We’d Love」という美しいアルバムも好きだし、
何より細美武士さんに会えるのがうれしい。

僕は熱狂的なELLEGARDENファンというわけではなかったけれども、
彼らには去年も一昨年もグラスのトリで感動させてもらった。
歌だけでなく、その時の細美さんの言葉にもいろんな勇気をもらった。

バンドは違っても、あれ以来ずっとロッキンの場で細美さんと会いたいと思っていたのだ。

今年は、ステージ上で細美さんはあまり多くをしゃべらなかった。
数少ない言葉の中で印象的だったのが、これ。
「ステージ上でこんなに本当の自分でいられたのは、今が初めてかもしれない」

昔からELLEGARDENを追っかけていた人にとっては微妙かもしれないが、
僕は素直に「よかったね」と思えた。
何より、ステージ上の細美さんはただただ音楽を奏でることに夢中になっていて、
それを心から楽しんで、衝動をストレートに発散してくれていた。

あそこまで誰かが何かに対して一生懸命になっている姿は、それだけで胸を打たれる。
胸を打たれるどころか圧倒されてしまって、途中からはもう呆然と観ていた。

やっぱりすごい人だな。
うん。

あと、HIATUSを観ていたオーディエンスも、また素敵だと感じた。
僕はレイクの周りの階段に立って観ていたのだけれど、
まさにほぼ全員が全身全霊を傾けてステージとアーティストを観ていた。

例えば曲と曲の間、あるいは一曲の中で静まり返る時も、
余計なおしゃべりをしているお客さんが圧倒的に少ない。

そういう空気感って、
アーティストと、他のオーディエンスにとても伝わるものだと思う。

だから僕はロッキンが好きだということもあるし、
「ロッキンは特別」と公言してくれるアーティストも多いのだろう。

今年も、たくさんの素晴らしいアーティスト・素晴らしいステージに出会えてよかった。
そして、あの他に替えようのないひたちなかの空の下に行けてよかった。

あの場をつくってくれたスタッフ、アーティスト、オーディエンスのみなさんに感謝したい。
一緒に行ってくれた嫁と、友達夫婦にも。

カウントダウン・ジャパンはあるけれど、
ひたちなかに戻れるのはあと1年後。

これから360日ほどの現実生活を乗り越えなければいけないが、
その後にはまた新しいひたちなかが待っている。

また、その日まで!

最後に、私的な3日間のベストアクト7選
(この中で順序はつけられません)

・LOW IQ 01&MASTER LOW
・RYUKYUDISKO
・ACIDMAN
・吉井和哉
・Dragon Ash
・曽我部恵一BAND
・the HIATUS

(あれ、有名な人ばっかりになっちゃった。笑)

あと、本文で触れなかったその他のこと、もろもろ

・だいぶ前からそうだけど、入場のスムーズさ・トイレの多さは他のフェスの追随を許していない。
・男の小用のトイレのカーテンには、なんとも言えぬ滑稽さが漂うな。
・天気運の良さも驚異的(予報では三日とも雨降りそうだったのに)
・しかし雨以外の場合では、異様に過ごしやすいロッキンだった。
・ハングリーフィールドの梅茶漬けは、毎年、一日一食ペース。
・その一日一食に、マンゴーアイスシャワーも仲間入り。
・フジやライジングサンにも出店してるような店は、たいていそこそこの味でしかない。
・そのフェスにしか出店してないような店が、どのフェスでも美味しい傾向。
・今年はあんまりDJブースに行く時間がなかった。
・それと同じように、みなと屋のハムに並ぶ時間もなかった。無念。
・DJブース、J-POPで盛り上がってRAGEやSLIPKNOTでポカーン、というのはもはややむなし。
・それにしても、さすがに「Born Slippy」ぐらいは爆発的に盛り上がってほしい。
・パークステージの入口に、今やってるバンドの名前を書いといてくれると助かる。
・グラスの音は確かに悪いけれども、あのステージの向きでは海風的に限界かもとも思う。
・ステージ間の音もかぶるが、フジぐらい離れてるのもあれはあれで疲れるしなあ。
・例年通り、ゴミ少なし。
・シーサイドステージの奥、海が見えて気持ちよかったー。
・音質も含めて、フォレストかパークの雰囲気が一番好きだなあ。
・Tシャツ着用率は、やっぱりエルレ(HIATUS)とホルモンが2強。
・それにしてもオフィシャルTシャツの10年に及ぶマンネリデザインはどうにかならんだろうか。
・とはいえ、なんでTシャツとか通販で買えるようにしないんだろう。

長文読んでいただき、ありがとうございました!