ずっと疑問に思っていること。
いろんなブログで僕が拝見してる水中写真は、sRGB形式なのか、AdobeRGB形式なのか。
ちなみに、このブログの写真は、全てsRGB形式でアップしています。
僕個人の結論としては、sRGBを選択しました。
(少なくとも今の時点では)sRGB形式でないと、
ブラウザやビューアーによってあまりに色味が違ってきてしまう、というのが理由です。
sRGBとAdobeRGBという言葉自体に不慣れな方のために説明いたしますと、
これらは簡単に言えば、色に関する規格です。
sRGBとは、standard RGBの略で、
その名の通り、一般的な(ほぼ全ての)モニタ、ブラウザ、プリンタに対応しています。
Adobe RGBとは、Adobe(というメーカー)が提唱した色空間の定義で、
sRGBよりも色の再現性が遥かに広い(=色域が広い)のが特徴です。
絵の具に例えれば、
sRGBよりもAdobeRGBの方が、使える色がパレットにたくさんある、という感じです。
モニタ上であれ、プリンタによって印刷したプリント写真であれ、
カメラで撮った写真の色味を、より忠実に表現したいのであれば、
AdobeRGBを使うにこしたことはないです。
というより、AdobeRGBでないとその写真の本来の力(=色味)を発揮しきれない、
というもったいないことになります。
(絵描きは優秀なのに、使いたい色の絵の具がパレットにない状態でしょうか)
ただ、AdobeRGBの最大の問題は、
対応していないモニタ、ブラウザが多いこと。
つまり、AdobeRGBで保存されている写真は、
Internet ExplorerやFirefoxで見ると、色味が違ってしまう(!)ということ。
(Windowsの場合の話です)
その点、AppleのブラウザSafariはAdobeRGBを読み込んでくれる(対応してくれてる)ので、
正確な色味で見ることができます。
制作の現場のPCに入っているブラウザがInternet ExplorerではなくSafariなのも、
まったくの道理というわけです。
とはいえ、たとえばうちのブログの場合、
訪れて下さる方々(総PV数)のうち、Safariを使ってらっしゃるのは7.15%。
(なお、OSがMacの方は、8.03%)
つまり、僕が写真をAdobeRGB形式でアップしていたら、
90%ぐらいの方々には(僕が望んでいる)正確な色味で見てもらえない、ということになってしまいます。
具体的にどれだけ違う(場合がある)かっていうと、
こちらのブログで実験結果を載せてくださっています。
Drift Diary13: ブラウザによる色の違いについて
以下の画像も、そちらのブログ(Flickr)からお借りしました。
まあ、これだけ違う場合がある、っていうことなんですよねえ。
なお、Safari以外、つまりInternet Explorer、Firefoxはこのようにヘンな色味になる可能性がありますが、
最近話題のGoogle Chromeでも試してみました。
けどGoogle Chromeでも同様にダメでしたので、
やっぱりWindowsでAdobeRGBに対応できるブラウザはSafariのみ、ということになります。
(Vistaの場合、例外あり。下部参照)
というわけで、何が言いたかったかというと、
気づかないうちにAdobeRGBで水中写真をアップされている方って多いんじゃないかな…、
ということ。
なお、僕の場合はsRGBでブログにアップしていると書きましたが、
正確に言うと以下のようにしております。
1.撮影時、デジタル一眼の設定はAdobeRGBにしておき、RAWで撮影
2.PCで現像後、ネット(ブログ)にアップするものは、sRGBに変換して保存
3.それとは別に、プリント用のために、AdobeRGBでも同様に保存
という風に(面倒っちゃあ面倒ですが)やっております。
2009年3月時点では、Windows Vista+Firefox3の組み合わせだとAdobeRGBを読み込めるなど、
AdobeRGBへの対応はすごーく徐々に始まっていますが、
それが全PCユーザーの8割、9割にまで浸透するのはどれぐらい先なのでしょう…。
それが例えば3年後ぐらいとか、
(楽観的でもいいので)メドがあれば、僕もAdobeRGBという決断をしたところなんですが…。
まだまだ"Webの標準"としてのsRGBが勢力を衰退させなさそうな現状では、
そちらに合わせるしかないなあと思っています。
もちろん、色の再現性はAdobeRGBの方が遥かに優れているので、
全てそっちに統一したいのは山々なんですけれども…。
この「sRGBかAdobeRGBか」という難題は、
特にプロの領域に近くなればなるほどシビアに考えざるを得ない問題かと思います。
水中写真ブロガーの方々や、ブログをされてるプロの写真家の方々がどう考えられているのか、
個人的にすごく興味のあるところです。