ずーっと好きだったTamas Wellsのライブをようやく初めて観られて、至福すぎたという日記。

僕がタマスを知ったのは、2006年。
きっと多くの日本のファンと同じように、「A Plea en Vendredi」という名盤を買ったのがきっかけ。

「あれ?2006年なんだ?」と今書いていて思った。まだ5年ぐらいの付き合いだったんだ。
もっとずっと昔から聴いているような気がしていた。
居心地が良い音楽、というんだろうか。
ずっと一緒にいたくなる音楽だから。

それで、今回の来日でようやく初めて観る機会に恵まれた(それも二回も)。

まずは一日目となる、12月3日。
会場となる早稲田奉仕園スコットホールは、天井が高くてすごくいいホール。
(写真は休憩中に撮りました)

Tamas Wells@早稲田奉仕園スコットホール

 

開演に少し遅れてしまったのだけど、入ったのはタマスの短編ドキュメンタリーが流れているところだった。
このドキュメンタリーのこともTwitterでshin ohsakiさんが情報を流していてくれて楽しみにしてた。
(日曜の公演ではしっかり最初から観るようにしよう)

今回の4thアルバム「Thirty People Away」発売から来日まで、このshin ohsakiさんのTwitterはとてもありがたくて、ますますタマスを身近に感じることができた。
これもとても嬉しい出来事の一つでした。

短編ドキュメンタリーが終わると、次はキム・ビールズ(Kim Beales)のアクト。
マイスペでちょっと聴いてただけなのだけど、やっぱり生で聴いた方がいい。
タマスとは違った(ちょっとブルースも入った)ギターと歌声で、心地良かった。

15分の休憩を挟んで、いよいよタマスの番。

最初の曲「Fine, Don’t Follow A Tiny Boat For A Day」でタマスが体を揺らしながらイントロのアコギを弾いた瞬間、もう嬉しくて嬉しくて。
ずっと追いかけていた人が目の前にいる。
目の前で歌ってるということが、大袈裟でなく奇跡のように感じたよ。
(また一曲目がこの優しすぎる曲っていうのがいいね)

そこから「When We Do Fail Abigail」「The Opportunity Fair」と、初っ端からタマスの曲がどんどん心に突き刺さる。
とにかく珠玉すぎる。

特に「A Plea en Vendredi」の曲はものすごく感傷深い。
やっぱりこれまで一番聴いてきたタマス・ウェルズのアルバムだし、これがなければ彼と彼の音楽に出会うこともなかったかもしれない。
そんなタマスが今こうして目の前で歌ってくれているという夢のような状況。
最初から何度も泣きそうになってしまった。

そんな個人的な感傷だけでなく、生で聴くタマスの歌声は、CDよりもさらに透き通っていて。
会場となる早稲田奉仕園スコットホールの高い天井まで届いて、いや、もっと高いところまで届いて、その歌声のただ中に包み込まれている感じ。

同じく「A Plea en Vendredi」からの曲で言うと、「Lichen And Bees」も感動的なまでのキムとのコーラス。
「感動」って陳腐な言葉だけれど、タマスのような曲、こういうライブに出会ったときにこそ使うべきだと思うわ。

かと思えば次には最新アルバム(「Thirty People Away」)から「True Believers」
どのアルバムからの曲がつながっても世界が全くブレないことって、タマスの音楽の大きな良さの一つだと思う。

「Lichen And Bees」の軽やかさも、「True Believers」の美しさも、そこには共通して流れる空気があるものね。

「A Dark Horse Will Either Run First Or Last」ではアンソニーのピアノソロもあったり。
アンソニーと言えば、「Writers from Nepean News」とか、たまに弾くバンジョーがすごく効いてるんだよねえ。
バンジョーって扱いの難しい楽器(音)だと思うんだけど、CD制作の時点でもいつも見事にアレンジされてるんだなあとライブで実感。

そして「Valder Fields」が来た!
ライブに行く前から、これ聴いたらもうやばいんだろうなあと思っていた。
ただ、ライブで実際にイントロが流れてそこまで「来た来たぁ!」と思わなかったのは、それまで12曲を聴いてきて改めて「タマスの曲は本当にどれも素晴らしい!」と実感してたからなんだろうなあ。
「Valder Fields」は間違いなく名曲。だけれど、タマスの曲は全てが名曲。

それでも初めて「Valder Fields」を生で聴けて、ずっと想い続けてきた人に出会えたような気持ちになって思わずちょっと涙ぐむ。

アンコール前は「For The Aperture」で終了。
この曲もそうだし、僕が予想していたよりもタマスがギターを弾きながら体を揺り動かして歌う(タマスとしてはアップテンポの)曲が多いんだなあ、と。
そしてそうやって楽しそうにギターを弾くタマスの様子を観ているだけで、嬉しくなってくるよ。

アンコールは3曲。
「An Organisation For Occasions Of Joy And Sorrow」でタマスのピアノ・ソロの後、「From Prying Plans Into The Fire」をやってくれたのはまた嬉しかったなあ。
何と言っても「A Plea en Vendredi」はこの曲で始まりを告げるんだものね。

そしてラストも同じあのアルバムから「I’m Sorry That The Kitchen Is On Fire」

もうあっという間。
これは忘れられないライブだなあ、ほんとに。
ようやく初めて観られたTamas Wellsのライブとして。

「ライブがよかった」のはもちろん、いやむしろ期待を遥かに上回るぐらい素敵すぎたのだけれど、それよりも自分が「タマスの生の歌声にやっと出会えた」ということの方が意味が大きい。
本当に良かった。

次は明後日、日曜日。
楽しみというかなんというか、「楽しみ」という言葉を軽く超えてしまうぐらい楽しみ。

早稲田奉仕園スコットホール・Tamas Wellsセット

セットリスト Tamas Wells 2010.12.3@早稲田奉仕園スコットホール

1. Fine, Don’t Follow A Tiny Boat For A Day
2. When We Do
Fail Abigail
3. The Opportunity Fair
4. Reduced To Clear
5. Open The Blinds
6. Lichen And Bees
7. True Believers
8. Your Hands Into Mine
9. England Had A Queen
10. Vendredi
11. The Crime At Edmond Lake
12. A Dark Horse Will Either Run First Or Last
13. Valder Fields
14. Writers From Nepean News
15. For The Aperture

[Encore]
1. An Organisation For Occasions Of Joy And Sorrow
2. From Prying Plans Into The Fire
3. I’m Sorry That The Kitchen Is On Fire

Tamas Wells@早稲田奉仕園スコットホール

タマスのライブ関連でで検索したら必ず出てくるこちらのブログ、僕よりもずっとタマスライブ歴が長くてさらにとても細かくレポをされていて、とても興味深かったです。
愛があるなあ。
(セットリストもこちらから参考にさせていただきました)

Tamas Wells live in Tokyo 2010 Pt. 1: 地味音楽の小部屋

最後になってしまったけど、タマス・ウェルズをまだ聴いたことがない方は、悪いこと言わないから本当にぜひ。

入門としては誰が聴いても絶対名盤のこちらをどうぞ。

A Plea En Vendredi
タマス・ウェルズ
Inpartmaint / Lirico (2006-10-15)
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