JRAのウェブコンテンツ「ジャパンワールドカップ」(JAPAN WORLD CUP)がネット上でとても人気です。
JRA | CINEMA KEIBA ON WEB JAPAN WORLD CUP

「面白い!」「JRAが壊れた!」という声が多く、それはJRAにとって良いことだと思います。
いくつか、そんな記事・エントリを貼っておきます。

日々是遊戯:「JRAが壊れた」と話題の競馬ゲーム「ジャパンワールドカップ」 – ITmedia Gamez
爆笑必至!君はもう見たか? JRA公式プロモ「ジャパンワールドカップ」 – UMA-JIN.net
JRA謹製のカオス競馬ゲームのプレイ映像、ニコニコ動画を埋め尽くす ほか -INTERNET Watch

手掛けたのは、同じような面白コンテンツ「スキージャンプ・ペア」を手掛けた真島理一郎監督。
実況もその時と同じ茂木淳一さん。

このコンテンツ、僕も面白かったし、笑いました!僕はそもそも「スキージャンプ・ペア」はDVD持ってるぐらい好きなので、同じようなシュールな真島監督ワールドを堪能いたしました。

ただ、ちょっと思ったんですね。

これでJRAにとってどんないいことがあるの?

自己紹介的に言っておきますと、僕は民放の競馬番組を録画して観るぐらいのライトな競馬ファンです。
土日のメインレース・準メインレースを観るぐらい。そして知ってる馬が多いG1・G2ぐらいだとちょっと馬券も買ってみるぐらい。あ、ちょっと昔(10年ぐらい前)になっちゃいますが、競馬場にも行ったことはあります。

僕はもともと馬という生き物が好きだし、競馬の中にあるジョッキーや競走馬のドラマも好き。
だから、競馬も楽しく観ています。

思うにやっぱり、JRAにとっての至上課題って、
「競馬ファンを増やすこと」そして「馬券を買ってもらうこと」ですよね。

その点から見て、この「ジャパンワールドカップ」を楽しんだどれだけの人が、今後も競馬を観て、馬券を買ってくれるんでしょう。(そしてそのまま何年もファンでい続けてくれるんでしょう)

それがすごく疑問。

だって、ここで伝えてる「面白さ」は真島監督が生み出したヘンテコ競馬の面白さであって、実際のリアルな競馬の面白さではないですよね。(馬券を買う、という行為はあるものの)

「ジャパンワールドカップ」が「スキージャンプ・ペア」と同じく、もとからDVD販売などを目的としたものなら、よく分かります。ただ、今回は広告プロモーション(言い方を変えるとコミュニケーション・デザイン)の一環なわけですよね。その時に、こうした表層的なウェブコンテンツだけでいいの?と。

とはいえ、これだけウェブ上で人気のコンテンツになってきたので、競馬に興味が湧いた人もゼロではないでしょう。
ジャパンワールドカップの画面上から、JRAビギナーズクラブへのリンクもありますし、JRAのウェブサイトのPVは増えたんだと思います。(ちなみにこのJRAのウェブサイト、特にビギナーズクラブはよくできてると思います)

ただ、その「費用対効果」はすごく気になるところです。

一個人として「おバカな広告プロモーション」は大好きですが、そこから行動に結びつかないコミュニケーション設計はあまり好きではないです。

個人的に勝手な期待として、広告やウェブを生業とするような方、あるいは「クリエイター」の方々は、こうしたプロモーションに違和感を持ってほしいなと思ったりします。目的は、「面白がらせること」ではなくて、「人を動かすこと」なわけですから。

少なくとも自分はそういう人と仕事をしたいな、などと、このJRAのウェブコンテンツを見て思ったりしました。

「『面白がらせること』は最初のフックだからサイトに誘導できればいい」という考え方もあると思いますが、それでもそのフックはサービスの本質(この場合は競馬の面白さ、あるいは競馬場の楽しさ)に直結したフックであるべきだと思うんですよね。

そんなようなことを感じました。
なんだか言いっ放しになって自分で考えないのもなんなので、次回のエントリでは自分なりにブレストレベルで考えてみたJRAの施策(お金の使い方)を書いてみようかと思います。

※ちなみにこのウェブコンテンツ、お金を出しているのはJRAではなく財団法人 全国競馬・畜産振興会みたいです。

繰り返しますが、こういうアホコンテンツ自体は大好き。